土俵一路

花形力士の取り口分析、上位陣の対戦別展望、幕下以下有望力士の特集などを更新中。旬の話題にフォーカスしたコラム調の記事も気の向くままに… 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。       ご意見・ご感想は chiyoganme39@yahoo.co.jp まで

なんとなく力士別分析を書くテンションじゃないので、今月は予定を入れ替えて部屋別記事の下書きに精を出そうかな。見た目の更新はない状態が続くと思いますが、裏では着実に動いていますので。。

令和2年初場所 千秋楽の展望

ついに德勝龍が単独トップに立ちました。20年ぶりの幕尻優勝なるか、それとも正代の逆転優勝か。注目の本割2番を展望します。



9正代×××●●×御嶽海9
幕内では御嶽海の9勝7敗。平成30年は年間6場所すべて対戦(正代の4勝2敗)しましたが、31(令和元)年は2回だけ。いずれも例によって左から入ろうとする正代の狙いを御嶽海が許さず、上を押したり下を押したり、突っ張ったり・体当たりしたり・おっつけたり…と臨機応変にじわじわ攻め込んでいく内容で連勝。
逆に正代が勝っているときは、左を差すか御嶽海が巻き替えんとするところを左からおっつけるか、いずれにせよ左からの攻めが効いて早くに組み止めることができている。

明日も立合いからの流れで左を効果的に使えれば正代、許さずに距離を取り前傾姿勢で中に入り込んでいく形になれば御嶽海か。
不調の御嶽海ですが、おそらくは「この一番」に脅威的な底力を発揮してきた実績も買われての正代戦起用。7-7という自身の成績も相まって、ずば抜けた集中のもと正代打倒へと向かうはず。
正代は思惑通り捕まえるのは難しそうで、下から下から来る分引きたくもなるでしょうけど、そこをいかに我慢して左右のハズをあてながら、今場所勝ってきた相撲のような「前へ前へ」の意識を貫けるか。


0貴景勝ー德勝龍1
十両時代を含めれば1対1。直近の対戦は3年前(29年春)とあまり参考にはなりませんが、德勝龍の引き、次いでいなす動きに足を遅れず貴景勝がバッタリ落ちた(決り手は突き落とし)という展開が、今場所德勝龍の築いてきた勝ち味と符合するのは確か。
無論、貴景勝の馬力・出足は当時と比べて段違いであり、德勝龍が受け止めて挟み付けるような動きを取れる公算の低いことは指摘するにも及ばないし、逆に踏み込んで突き起こさんとしても簡単に跳ね上げられ、たまらず引いてしまうでしょう。

真っ向勝負でかかっていっても分が悪いことは明らか。ならば勝負師德勝龍、彼我の力量差を冷静にとらえ、満を持して飛び道具の活用を目論むのか。それとも、あくまで一つ踏み込んで圧力をかけるという姿勢を通すのか。
もしも飛び道具を使うのなら、かましながら左右いずれかへ変わるのがベストの選択と見る。



おまけ 決定戦用
正代×德勝龍
本割の展望記事はこちら
大体当たっていたかなとは思うので、詳細の分析はリンク先をご覧いただければと思います。

本割で德勝龍が勝てた最大の要因は、やはり迷わず自分の呼吸で立って当たり勝ちできたこと。
対して正代は完全に受け太刀。悪いときのように上体だけで当たり、上体だけで操作するような左からの掬い投げに出るところで相手に右上手を与えてしまった。
荒磯親方風に言うなら「しっかり我慢し、持ちこたえてからの技」を怠り、小手先の動きに逸って主導権を握られてしまったという表現になるのだと思う。
ゆえに再戦に際して正代が修正すべき箇所は、突き落としに対する警戒…ではなく立合いの一点。本当は対戦する全員に相手の呼吸を許してやる人の好さにも多少の改善は要るんだろうけど、急にできないですから、とにかく下をどっしりとして、自分から軽さを助長するような動作に出ることなく踏み堪えられるか。
「左四つで腰を据えれば絶対に自分のほうが強い」という自信を持ち、鷹揚とした取り口に徹してほしいと期待しています。

令和2年初場所 14日目の展望

14日目、いよいよ1敗同士の大一番が実現します。

1正代×德勝龍0
両者の対戦は4年前の大阪で1度あるだけ。DVDに映像が残っているかどうかヒヤヒヤものでしたが、なんとか見つかりました。
このときは、正代がもろ差し、徳勝龍は左差し右上手を上から掴みに行く立ち合いから左四つがっぷりに。土俵中央で德勝龍が深い下手を引き直さんとするところを正代逃さず切るや、腹に乗せるようにしながら差し手側にぐいぐいと迫り、最後は赤房方向へ寄り切った。

正代としては、この相撲のように両廻しを引きつけて十分に密着し、持ち上げるようにして寄り詰めれば、今場所猛威をふるっている「德勝龍スペシャル」を喰う間合いにハマることはないでしょう。
勿論立ち合いからの流れで二本差せれば理想的ですが、德勝龍の左は異様なまでにかたいので固執しないことも大事。左四つに組める公算は高いので、そこから相手の誘いに乗ることなくじっくり腰を据えて料理する余裕があるかどうか。
前哨戦で突っ張り合いの様相になることも想定しておきたいところで、左右のハズを生かしながら押し込むことはできると思いますが、ここでも怖いのは德勝龍の逆転技。ポイントは今日の豊山のようにまっすぐ出てしまわないこと。下から上に押し上げて、その方向に下半身を寄せていくような詰めができれば突き落とされることはない。言うは易し、あとは繰り返す通り、大一番においてそれだけの余裕を持ち得るのか…ということに尽きますね。


対する德勝龍、そろそろ立ち合いの飛び道具を…という話もしたいのですが、胸から出てくる正代の立合いだけに単純な変わり身は効かない。やるとすれば張りながら右に動くような形なのかなと思いますが、ここ数日意を決してまっすぐ踏み込んでいる様子を見れば、明日も9割方同じ立ち合いで行くでしょう。そうして少しでも圧力をかけた状態から二の矢の攻防に移れていることが「スペシャル」発動の根拠となっています。
少なくとも、前回のようにやや右へ変わりながら深い上手を取りにいく立ち合いは下策。人の好い正代は先に手を下ろし、德勝龍の呼吸で立つことを許容してくれますから、生涯最高の当たりをするつもりで立合いに全神経を研ぎ澄ませてもらいたい。
形を整えないままに出て強引に体を預けんとする正代を右からの突き落とし(あるいは小手投げ)で仕留めるのがもっとも思い浮かべやすい勝ち筋。そのために重要となるのは巨腹をうまく活用して相手との間隔を保つこと。腹を使って呼吸と距離をはかり、一度ぐっと前に体重をかけることで相手の足を揃わせてから体を開いて押しつぶすように打ちつける独特の技能が明日も冴え渡るのか。


よもや正代×德勝龍の対戦にこれほどの分量を割く日が来るとは予想できるはずもなく…
こんな機会を与えてくれた両力士には感謝の気持ちしかありません。さあ、大一番。今はただ二人の力戦奮闘を祈るのみの心境でございます。



2朝乃山××××●○貴景勝3
貴景勝が大関に上がる前の30年夏~秋にかけて3場所連続で対戦した後、1年間のブランクを経て、元年秋・九州と連戦。
秋場所は貴景勝が低く朝乃山が高い、九州は貴景勝が高く朝乃山が低い踏み込みで、立合いの出来が勝敗に直結している。今日もこの点が最大のポイントと言えるでしょう。
それぞれが成功した時の立合いで当たり合えれば激しい二の矢の攻防となりそうですが、朝乃山が廻しを求めるのか、自身も突っ張りや喉輪押しで応戦するのかによっても展開は変わってくる。
いずれにせよ、今場所の貴景勝の状態からすると朝乃山が押し返すなり、押し返しながら組み止めるなりできる余地は十分にある。そこで慌てず、貴を自分の高さに引き上げたり、胸を合わせたりする一手間を惜しまずに攻められるか。逆に貴は反応良く相手の体形が乱れる瞬間を突きたい。

令和2年初場所 11日目を終えて…

今場所はやや趣向を変えて。今日は2敗で追う豊山と輝の取り口を振り返ります。


豊山 9-2
まずは同部屋の正代同様、立合い(体当たり)の踏み込みが安定して相撲の流れが良いのは大前提。
加えて、従来指摘されてきた肘が空いて差されやすいという突きの欠点が今場所はあまり出ず、力が逸れることなく相手に伝わっていること、また初日佐田の海に左前廻しを許さず右四つの重厚な寄り身で制圧した相撲を手始めに、相手に応じた戦略も使い分けが効いている。
苦手とする石浦・阿武咲を下して気を良くしたことも、弾みをつけるという意味では大いに役立っているのではないでしょうか。

明日は4敗の栃煌山戦。言うまでもなく差し身の良い人ですが、今場所の立合いで左右の挟み付けを効かせて顎を上げ、突き放す流れへと進めていくことが出来れば、そう難しい相手ではないはず。土俵際の捌きは上手いですから、そこだけ注意できれば。
あとは硬さが出ないことを祈るのみですが、優勝争いの経験はありますし、追う立場なので、まだ大丈夫でしょう。

12日目の取組
4豊山××××○×栃煌山1
※豊山の1勝は不戦勝なので、実質3対1。



 9-2
いやあ、強くなりましたね。やっと上体と下半身とをどの位置に置き合えばスムーズに体が動いていくのかという、本人にしか分からない感覚を身に着けたんでしょう。上体が変に先行したり突っ込んだりせず足の動きに合わせて動くので、さほど腰が下りていないようでも出足がつく。今まで一定しなかった踏み込み足が左足に統一されたことにもおそらく意図があるのだと思います。
初日や今日の栃煌山戦みたく、右を覗かせ左で絞り、相手を正面に置いて支えになるものを作った場合は一層安定感と強みが増すよう。この相撲、今のイメージを忘れずにいてほしいと願うばかりです。

さて、明日は1敗德勝龍戦。前回の対戦では、当たりながら右(輝から見て左)に動かれている。他にも左変化(からのとったり)や張り差しなど飛び道具が豊富なだけに、輝側としては頭を起こしてかち上げ気味に出るなり、もろ手を出すなりのプランもなくはないのですが、せっかく良い形で相撲が取れているわけですから、敢えて自らそれを崩すというのも損な話か。どっしり構えて相手の空回りを誘うくらいの心持ちでいたい。
德勝龍側としては、なんとか横からの崩しを入れて輝の軸をぶらしたい。張り差しで横を向かせるのか、去なして崩すのか。或いはとったりの裏技を使うのか。どちらの方向から崩していくかも鍵になる。とにかく左四つで胸を合わせる形勢を除いては、輝の正面にいる時間をできるだけ短く、絶対に密着させずに距離を取ることでしょう。


12日目の取組
1輝××●×××德勝龍4



その他の好取組
2正代×××●●×阿炎3
えっと、まず…なんですけど、今日の解説で尾車さんも話していた通り、正代は立ち合いで顎なんて引いちゃいないですよ(笑)変わったのは上じゃなくて下なんじゃないか…というのは昨日書きましたが、それはさておき、少なくとも顎は引いてない。
だから、いかに進化していても、朝乃山戦に鮮烈な阿炎の相撲(具体的には相手の喉より上を攻めるのが上手い)とは極めて相性が悪い。ゆえに下の好調力士と連戦が組まれることで対戦回避となるシナリオを望んでいたと想像しますが、そうは問屋がおろしませんでした。
早くに顎を上げられ、しかも回転と喉輪のコンビネーションで来ますから本当にやりづらい。まだ以前のように右右と来てくれたら左筈で受け止められるのだけど、最近は左も使えるようになっているのがさらに厄介さを高めています。
正代としては、一にも二にも踏み込んで一歩相手を押し込むところから流れを作れるか。そのまま距離を詰めて抱きついてしまえれば一番。そうでなくても、まず攻め込んで腰と後ろに余裕を作っておくことが必須と言えるでしょう。
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