鳴戸部屋
元大関琴欧洲の15代鳴戸が、佐渡ヶ嶽部屋から独立して平成29年4月に創設した。
佐渡ヶ嶽部屋から直接の独立となるのは昭和62年の尾車部屋以来。当時の尾車同様、所属力士は独立最初の場所で佐渡ヶ嶽部屋のシンボルとも言える「琴」の字を取り払った四股名へと改名している。


31年初場所後に報道された三段目力士らによる不祥事は残念と言うほかなく、部屋の先行きにも影を落としかねないが、管理不足を指摘された環境面の改善をはじめとする諸問題に対し、徹底して取り組む姿勢を示していくこと以外に失った信頼を取り戻す道はない。
協会としても、この若き指揮官率いる新興部屋をいかに立ち直らせるかが体質改善への試金石とみなされるだけに、相互の建設的かつ持続的なやり取りが、ひとつのモデルケースとして実ることを願いたい。



主な注目力士
虎来欧(H8 ブルガリア 193 132)
師匠と同じブルガリア出身のホープだが、三段目在位が1年あまりと当初の期待値からすれば多少足踏みしている感も。相撲内容を見ていても、まだまだ勘が鈍く、一つ一つの動きを考えながら相撲を取っている様子が伺える。
それでも右差し左で絞る型がハマれば破壊力十分、スケールの大きさに疑いはない。苦しみながらもじわじわと番付を上げて、31年春は幕下が見える地位にまで上がってきそうだ。


安齋(H14 東京 176 119)
中学卒業後の入門ながら初土俵から1年足らずで三段目昇進を果たした期待株。柔道経験者で相撲は小学校の頃に少しやっただけというのだから、その早い適応ぶりには驚かされる。
三点で当たるような立合いから、パパパっと突っ張ってよく手足を前に進めていく景気の良い取り口にも柔道の影は見えない。
時折、全然腰を決めぬままフェイント気味に立つこともあるが、これは余分。意表を突けているうちは良くても、覚えられれば簡単にかわされてバランスを崩すばかりとなろう。基本通りにしっかりと腰を割り、重みとスピードの両立した立合いを確立させることで揺るぎなき地力をつけていきたい。