ついに德勝龍が単独トップに立ちました。20年ぶりの幕尻優勝なるか、それとも正代の逆転優勝か。注目の本割2番を展望します。



9正代×××●●×御嶽海9
幕内では御嶽海の9勝7敗。平成30年は年間6場所すべて対戦(正代の4勝2敗)しましたが、31(令和元)年は2回だけ。いずれも例によって左から入ろうとする正代の狙いを御嶽海が許さず、上を押したり下を押したり、突っ張ったり・体当たりしたり・おっつけたり…と臨機応変にじわじわ攻め込んでいく内容で連勝。
逆に正代が勝っているときは、左を差すか御嶽海が巻き替えんとするところを左からおっつけるか、いずれにせよ左からの攻めが効いて早くに組み止めることができている。

明日も立合いからの流れで左を効果的に使えれば正代、許さずに距離を取り前傾姿勢で中に入り込んでいく形になれば御嶽海か。
不調の御嶽海ですが、おそらくは「この一番」に脅威的な底力を発揮してきた実績も買われての正代戦起用。7-7という自身の成績も相まって、ずば抜けた集中のもと正代打倒へと向かうはず。
正代は思惑通り捕まえるのは難しそうで、下から下から来る分引きたくもなるでしょうけど、そこをいかに我慢して左右のハズをあてながら、今場所勝ってきた相撲のような「前へ前へ」の意識を貫けるか。


0貴景勝ー德勝龍1
十両時代を含めれば1対1。直近の対戦は3年前(29年春)とあまり参考にはなりませんが、德勝龍の引き、次いでいなす動きに足を遅れず貴景勝がバッタリ落ちた(決り手は突き落とし)という展開が、今場所德勝龍の築いてきた勝ち味と符合するのは確か。
無論、貴景勝の馬力・出足は当時と比べて段違いであり、德勝龍が受け止めて挟み付けるような動きを取れる公算の低いことは指摘するにも及ばないし、逆に踏み込んで突き起こさんとしても簡単に跳ね上げられ、たまらず引いてしまうでしょう。

真っ向勝負でかかっていっても分が悪いことは明らか。ならば勝負師德勝龍、彼我の力量差を冷静にとらえ、満を持して飛び道具の活用を目論むのか。それとも、あくまで一つ踏み込んで圧力をかけるという姿勢を通すのか。
もしも飛び道具を使うのなら、かましながら左右いずれかへ変わるのがベストの選択と見る。



おまけ 決定戦用
正代×德勝龍
本割の展望記事はこちら
大体当たっていたかなとは思うので、詳細の分析はリンク先をご覧いただければと思います。

本割で德勝龍が勝てた最大の要因は、やはり迷わず自分の呼吸で立って当たり勝ちできたこと。
対して正代は完全に受け太刀。悪いときのように上体だけで当たり、上体だけで操作するような左からの掬い投げに出るところで相手に右上手を与えてしまった。
荒磯親方風に言うなら「しっかり我慢し、持ちこたえてからの技」を怠り、小手先の動きに逸って主導権を握られてしまったという表現になるのだと思う。
ゆえに再戦に際して正代が修正すべき箇所は、突き落としに対する警戒…ではなく立合いの一点。本当は対戦する全員に相手の呼吸を許してやる人の好さにも多少の改善は要るんだろうけど、急にできないですから、とにかく下をどっしりとして、自分から軽さを助長するような動作に出ることなく踏み堪えられるか。
「左四つで腰を据えれば絶対に自分のほうが強い」という自信を持ち、鷹揚とした取り口に徹してほしいと期待しています。