春日野部屋

<所属年寄・裏方一覧>
師匠 春日野(元関脇・栃乃和歌)
年寄 富士ヶ根(元小結・大善)
年寄 二十山(元小結・栃乃花)
年寄 竹縄(元関脇・栃乃洋)
年寄 三保ヶ関(元幕内・栃栄)
年寄 岩友(元幕内・木村山)
参与 待乳山(元小結・播竜山)
行司 木村庄太郎(三役格行司)
行司 木村秋治郎(幕内格行司)
行司 木村善之輔(十両格行司)
呼出 次郎(三役呼出)
呼出 新太郎(序ノ口呼出)
床山 床匠(五等床山)
若者頭 栃乃藤(元幕内・栃乃藤)
若者頭 虎伏山(元幕下・虎伏山)
世話人 栃玄王(元幕下・栃玄王)



<近況>
・十両昇進目前まで行った塚原だが、惜しくもチャンス逸。それでも15枚目以内に安定し、次のチャンスに備えている。
・埼玉栄高出身で塚原の後輩にあたる栃神山、拓大出身の川本ら新幕下も続々と。中堅の域に入ってきた栃丸・栃登・栃清龍らにとっては何よりの刺激となろう。


主な注目力士
塚原(生年:平成11年 出身:埼玉 身長:193センチ 体重:151キロ)
埼玉栄高では、納谷・琴手計・土佐栄山(阿武松)と同級生。29年九州の初土俵以降順調に番付を高めて、1年後には新幕下。その後も勢いは止まらず、元年名古屋で初の15枚目以内を飛び越える西7枚目、同九州には東4枚目で3勝4敗、もう一つ勝てば十両昇進も…というところにまで迫った。

191センチの長身ながら小回りの良さが持ち味。棒立ちで受けているかのように見えても膝がしっかり曲がり、残す腰を生かしての逆転という勝ち方が少なくない。そのような場合を含め、懐の深さを生かした引き・いなしもよく効いている。
まだまだ体は発展途上で押す力も不完全ゆえ、スケールの大きさを証明するほどの押し相撲をさほど披露しきれていないが、焦る必要はない。じっくりと地力・体力を養成しながら、将来的には玉鷲のように右喉輪・左おっつけの構えにかかる豪快な攻めを見せて欲しいものである。
部屋OBとしては(とんでもなく古くなってしまうが)相模川を思わせる素材であり、将来的に四つを覚えるのであれば、師匠の背格好にも似ているか。いずれにせよ正真正銘の大器、部屋一丸で傑物へと育て上げたい。


栃清龍(生年:平成7年  出身:岐阜 身長:174センチ 体重:133キロ)
地道な体力強化が徐々に実り、ずいぶん体もふっくらし始めた30年は、自身初となる15枚目以内の番付も経験。ただ、下位で2度の6-1を記録する一方、20枚目前後の番付では2度の2-5。31年以降も概ね同傾向で、上位への壁を突き崩すには至っていない。

左おっつけを主体とする取り口だけに、突き押しや右四つの人に対しては、どうしても立ち合いで受けてしまいがち。また左四つの相手には引っ張り込まれてしまう場面が目立っている。
前者については、二歩目にあたる右足をしっかりと前に踏み込んでいくような二の矢の攻め・後者については、得意とは反対側にあたる右からのおっつけで相手の左差しを封じられるようになってくれば、上位定着及びその上の地位も見えてくるのではないだろうか。
序盤で相手と適切に距離を取りつつ、崩してから左を差したときの出足・体の寄せ・土俵際の詰めには目を見張るものがあり、将来的には嘉風(現中村親方)に代表される技巧的かつスピーディーな左差し速攻を磨いてほしい。


栃登(生年:平成5年 出身:石川 身長:184センチ 体重:143キロ)
リンク先記事を更新してから4年近くが経っても、なかなか幕下中位を抜け出しきれない時期を過ごしている。以前も書いたとおり、取り口の変化と番付上昇が比例するタイプゆえ、いつ立ち合いに激しさ・厳しさが出てくるか。変わりさえすれば見える世界もガラリと切り替わるだろう。


栃丸(生年: 平成4年 出身:東京 身長:172センチ 体重:149キロ)
愛嬌ある風貌・体つきと、それに似合わぬ猛突っ張りの敢闘精神あふれる取り口は人気がある。膝の怪我で十両目前の地位を明け渡し、近年は幕下中位以下が主戦場。8場所ぶりに三段目まで落ちた2年春場所は6勝1敗と気を吐いた。遠回りこそしたもののまだ27歳、これからこれから。


栃神山(生年:平成13年早 出身:埼玉 身長:179センチ 体重:145キロ)
埼玉栄高では北の若・二本柳らとチームメイト。31年初場所初土俵を踏むと、序ノ口から三段目まですべて1場所で通過した。現在は幕下中位で最初の壁らしきものに当たり始めているようだ。

左へずれ加減に踏み込んでの左外ハズ、次いで右からおっつけないしハズにかかって挟み付ける押し相撲が理想。外ハズからの進展であれば左が入ってもスムーズに腕が返るので、右おっつけを併せた低く安定感のある寄り身を実現できる。
課題としては、まだまだ立ち合いの当たり自体が幕下上位クラスとやるときには物足りないことが一点、加えて、左へずれての左おっつけ一辺倒では、どうしても相手に覚えられるので、おっつけがハマらないよう距離を保たれたり、逆に速く中に入り込まれたりといった対策で負ける相撲が増えてきた。
コンディションの面では、左肘のサポーターも気にはなるが、それ以上に左足首の状態が芳しくなさそう。現状、左足から踏み込んだ後に、その足でガシッと踏ん張ることが出来ておらず、その点も立ち合いの弱さに拍車をかけているのかもしれない。


栃幸大(生年:平成11年 出身:静岡 身長:177センチ 体重:119キロ)
静岡・飛龍高校を経て、29年春初土俵。平成30年中には三段目で2度の7戦全勝を記録した。
この部屋の力士らしく、頭で当たってのハズ押し・おっつけをベースに、前に出ながら差したり・いなして崩しながら攻めたりする取り口で、廻しを許せば素早く切るサマなどにもセンスがにじむ。
足首の怪我があったものの基本的には体質も柔軟、ゆえに好素材という表現がピタリとハマるのだが、今後どういう型を一番の得意に磨き上げていくのか予想し始めると意外に難しくなってしまうあたり、以前片男波部屋に居た玉大輝を思い出させる。
答えはともかく、現時点においては、もう二回り以上体を大きくしながら立合いの強化に努めていくことが最重要か。怪我をすることなく、番付の上では前年に引き続き幕下定着を図る一年としたい。


川本(生年:平成7年 出身:京都 身長:181センチ 体重:139キロ)
師匠・春日野の母校でもある箕島高ー拓大を経由して、30年春初土俵。学生時代にさほど際立った実績を有するわけではないが、デビュー1年足らずで幕下目前まで上がると、次の1年はやや苦しんだものの安定して三段目上位を保ち、2年春場所での新幕下昇進にこぎ着けた。

突き押し得意の力士だが、決して出足で圧倒するわけではない。体も硬く腰高気味だが、上体の強さで相手を押さえながら適正に保った距離を容易に詰めさせぬ守りの強さは、岩友(木村山)や栃飛龍(元十両)の現役時を想起させる。派手さとは無縁の存在だが、自らの個性を自覚しつつ伸ばしていくことを心がければ、十分に出世の芽はあるだろう。もちろん、本人はもっと早くに…という思いだろうけど、個人的には30歳前後にピークが訪れそうなタイプという気がしている。





創設以来の概略については昨年度分の記事を参照。 

若者頭のプロフィール①
虎伏山義幸(元幕下・虎伏山)
昭和46年生まれ、和歌山県出身。中学卒業と同時に三保ヶ関部屋へと入門し、62年春場所、本名の田丸で初土俵を踏んでいる。
同期生には浪岡(のちの大関・貴ノ浪→音羽山親方 故人)、小岩井(のちの小結・小城錦→現中立親方)、市川(のちの小結・旭豊→現立浪親方)、琴中野(のちの幕内・琴龍)、向(のちの幕内・北桜→現式秀親方)、同部屋同期には郡山(のちの幕下・増昴)がいた。

郡山の1番出世に対し、田丸は3番出世ということで当初は地力差があり、三段目昇進は2年遅れ。
5年春場所からは、地元の名城・和歌山城の異名を貰って虎伏山に改名するも出世ペースを早める材料にはならず、3年後に入門した同学年の長澤(のちの幕下・大亀山)にも早々と追い抜かれ、その大亀山や郡山を学生出身の肥後ノ海や濱ノ嶋(&少し間隔をおいて増健)が抜いていくという状態であった。

それでも地道に力を蓄え、7年夏場所、デビューから8年かかって幕下昇進を決めると、8年以降幕下定着を果たし、徐々に同学年2人との番付が近接および逆転し始める。
10年名古屋で初の15枚目以内進出、翌年名古屋で一桁&同秋場所で5枚目以内を経験して、いよいよ関取が見える位置へ。
最大のチャンスは13年。春場所は西5枚目で3-3から十両春日錦を上手投げで破り、勝ち越し。翌夏場所東2枚目の最高位に躍進して大きな期待を集めたが、1点の負け越しに終わり、翌場所も2勝5敗で夢は潰えた。

その後も下位へ落ちれば大勝ちで再浮上するも、上位では勝てなくなり、15年九州場所後に32歳で引退を決意。同時に世話人として第二の人生を歩むことが発表された。
そして、引退から15年以上経った今年(令和2年)春場所後、若者頭への職務変更が決まり、今後は新たな役どころで手腕を振るうこととなる。
筆者をはじめとする一部のコアなファンにとっては、NHKBSの中継において向正面解説として出演するのかどうかも注目ポイント。その際、現役時の勇姿など拝見する機会があれば尚更嬉しいのだが…


参考資料
「相撲」昭和62年4月号
「相撲」平成5年4月号
「相撲」平成16年1月号


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