9日目は注目力士の取組に特段掘り下げて書くような材料がなく…
幕下上位で贔屓が負けた傷心もあるので休んでも良かったのですが、たまには趣向を変えるのもアリかなと思い至り、幕内から10番ほど取り上げて短くポイントだけ指摘していく形を採ってみました。


6-3豊山×松鳳山3-6
豊山が泉川に撓めて白房に出ていくところ、松鳳山回り込んで横へつきかけるも、豊山がそれに反応して回った方に体を寄せたりせず、腕ひねりの要領で撓めた手を離さなかったことが勝因。


5-4翠富士×琴恵光3-6
翠富士の肩透かしが決まらなくなってきた。前への仕掛けが不足しているのもそうだが、自分が右を差したとき、相手にも右を差されているので、左が使えなかったり、使えたとしても一拍遅れてしまうケースが目立つのも気になるところ。
琴恵光側からすると、左手の使い方も良かった。肩透かしに来ると見るや、だらんと力を抜いて、相手の肩口へかけるようにし、そこへ体全体で凭れ掛かるような具合。これも肩透かし封じの要諦と言える。


6-3明瀬山(押し倒し)碧山5-4
明瀬山、右を差すも碧山の突き上げをもろに食らって足が揃い、左から振られた上、ロックされた状態のままでかち上げ気味の一発を顎にもらって尻もち。ここ2日の相手とは流石に地力が違うようだ。


6-3志摩ノ海(押し出し)佐田の海4-5
この相撲でも志摩ノ海の肩透かし封じが見られた。志摩、左上手を引いて向正面から赤房方向へ寄っていくところ、佐田の海が右に回りながら左右の手で志摩の肩口を挟みつけようとするも、志摩、判断良く上手を離し突きつけたので、腕を極められることなく対処することができた。勿論、左膝の寄せ方、右足の早い送りも勝因だ。
本当は左上手を軸に差し手の方に出ていきたかったはずが、上手側に引っ張られてしまったところ、うまく切り替えて勝ちに結びつけた。先場所優勝争いを盛り上げた男が今場所もジワジワと調子を上げている。


6-3逸ノ城(寄り切り)霧馬山6-3
逸ノ城の張り差しであっさり右四つに組んでしまった霧馬山、盛んに上手を切ろうとするも果たせず、自分の腰を軽くしてしまった。霧馬山は左を使ってナンボのところがあるので、上手を取りに行ってしまうのはやむを得ないのだが、さすがに逸ノ城は攻め崩せない。
右四つからでも巻き替えを出せるようになると随分幅も広がるはずで、当然、横綱の指導のもと研究に勤しんではいるのだろう。


5-4宝富士(突き落とし)大栄翔8-1
最近3連敗していた合口通りの相撲内容。宝富士が左半身で受け止めながら左回りで角度をずらしていくのに上体だけ合わせてついていく内、左のかかとが上がり、膝が内側に入る足運びに無理が出てきて前後不覚(前に落ちるか、差されるか)に陥ってしまう。
そういう展開を回避するためにも立合いが重要だったのだが、そこは宝富士も「飛ばされないように注意していた」と細心の注意を払っていた。


2-7北勝富士(押し出し)御嶽海5-4
御嶽海、今日は左足から一歩踏み込み、右から攻めかかっていく得意の流れに持ち込めたが、右足に力の入らない北勝富士の状態が悪すぎて、あまり参考にならない気も…
北勝富士、このコンディションで大栄翔に通じるとは思えないが、優勝争いで先頭を走る高校の後輩に
意地を見せたい局面。何か作戦を仕込んで土俵に上がるだろうか。


4-5輝(小手投げ)隆の勝5-4
中盤に入ってから、どうも前後に脆い隆の勝。懐の深い輝に対し、迂闊な右棒差し、左も遊んだままで前に出て、土俵際際どかったが僅かに早く落ちた。
先場所も似たような負け方をしており、余程初土俵同期&同学年の相手に意識があるのか…


6-3照ノ富士(寄り切り)竜電3-6
形式的には竜電得意の左四つに見えるが、立ち腰にならず、左を差して右から絞っていく体勢になれば安心して見ていられる。
圧搾するが如き左右の挟み付けで、照ノ富士の左差し側にくっついていた竜電の上手を切りながら右側にめくり上げ、左を深く持ち替えて、最後は右前廻しを引いて胸を合わせて勝負あり。
3敗こそしているが、取りこぼし的な負けはなく、勝つべき人からは確実に星をあげている。大関取りへ「ジャンプ」の場所、目標の二桁勝利に向け、着実な歩み。


5-4玉鷲(押し出し)正代7-2
一度目の立合い合わず。前回も玉鷲に先に仕切られて立ちづらそうにしていただけに嫌な予感。二度目も玉鷲に良い当たりを喰らったが、根幹である左のあてがいに対し、玉鷲が右右と来てくれたので、比較的合わせやすかったか。一瞬左突きから、右で振られてもおかしくない間合いになりかけたが、すぐに差し手を返していたので、小手投げに来ても極まりはしなかっただろう。


2-7貴景勝(引き落とし)遠藤5-4
10日目の朝、ついに貴景勝の休場が発表された。北勝富士戦での左足首の負傷ということだが、ああして足首が返るのは膝の不安とも無縁ではないはず。今はもろもろ込みで直してほしいと願うだけだ。


6-3朝乃山(寄り切り)髙安5-4
髙安の立ち合いが不明瞭。左を差し勝って右からおっつけるような展開を目論んだのかもしれないが、結果的には簡単に右四つに吸い込まれる様相。
右おっつけから右を差して大きく返し、相手に上手を与えない形を作れば本職の右四つ相手にも戦える髙安だが、この日は右を使えず、上から掴んだ左の深い上手も朝乃山の出足の前にすぐに切られてしまった。

実は土俵の上で対戦したのは一度だけ。1年半ぶりということで、最近立ち合いに色々考えて立つことも多い髙安としては、どういくべきか悩んだのかもしれない(実は観る側としても定まった展望を抱きづらい面があった)。
これからは毎場所のように当たるはず。次は髙安がどう行くか。またブログやTwitterで検証してみたい。