土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

Category:2015年 > 秋場所前

またまた駆け込みになってしまいましたが、なんとか間に合いました。

※今場所からは幕内優勝、三賞、十両優勝、幕下優勝の4つのみに絞って更新することとします。


幕内優勝
本命:白鵬 対抗:鶴竜、照ノ富士
先場所分でも書いた通り、年間負け越しの回避をノルマとしているので、後がない状況下、今場所も一番可能性が高い並び(優勝経験者のみ)で行くしかない。 
優勝ラインは白鵬に全幅の信頼が置けないだけに、13勝までは下りるんじゃないかなと見ています。

三賞
殊勲 本命:高安 対抗:栃煌山、嘉風
敢闘 本命:逸ノ城 対抗:遠藤、勢
技能 本命:なし  対抗:妙義龍、安美錦

殊勲は日馬富士の休場で高安に上位総当たり機会が巡ってきましたから、1か100かのタイプですが、思い切って。栃煌山は膝の不安が否めず、外そうかと思いましたが、やっぱり鶴竜に強いからなあ・・・
敢闘は逸ノ城決め打ち。技能は当たるまでこの形を崩さずにいこうかなと。


十両
本命:正代 対抗:旭日松、旭大星
「新十両優勝は続く」という曖昧なジンクスを信用しきって正代を本命に。対抗は旭天鵬引退で自覚の芽生える友綱コンビの奮起に期待。


幕下
本命:慶天海 対抗:白鷹山、琴太豪
後ろ髪を引かれるのが琴恵光なんですけど、周りの番付を見て、タイプ的に一番難しそうな安彦といきなり組まれちゃったからなあ・・・
ってことで、さすがに番付が下がりすぎの慶天海の捲土重来に期待しつつ、先場所初の一桁で跳ね返されるも地力がついていることは証明した白鷹山と網膜剥離による全休明けの琴太豪を対抗に据える。後者は立合いでかませないと、結局、以前の強引に引っ張り込む相撲に戻っちゃうんじゃないかという不安もありますが・・・

駆け込みも駆け込みですが、今場所予想される注目の取組を何番かピックアップしてみたいと思います。なるべく書いたことが少ないカードを中心に・・・


照ノ富士×嘉風
一昨年九州が初対戦で嘉風が翻弄(照は当時十両)。以降、昨年名古屋・九州と照が連勝し、5場所ぶりの対戦となります。
最初2度は照が先にきっちり両手を下ろして待ち、嘉風は後から腰を下ろし、さっと両手をついて立つ形。当たり勝って突き放す嘉風のペースから、一度目は嘉風タイミング良くいなして照を泳がせての押し出し、二度目は当時の熱中録でも触れましたが、ハズにかかって押し上げる手を照が左で引っ張り込み、嘉風がなおも猛攻を仕掛けるを堅く守って防ぐ。最後は右で起こしてから、相手の出る勢いも利用して振り、体を入れ替えてからの極め倒し。
3度目は逆に嘉風が先に両手を下ろして待ち、照は腰を下ろすも手はつかず、タイミングを測りつつサッとついて、右を差しに行く狙い。嘉風が左を固めて踏み込むところ、照が左でおっつけると、嘉風は左へ回り込もうとするが、照、慌てず体を寄せて、最後は割り出し気味の厳しい詰めで押し出しました。

九州については、嘉風は途中休場明けということで、動きが鈍かったこともあり、あまり参考にならないといえばそうですが、形としては非常に分かりやすくて、立合いで十分には相手を弾けずに、寧ろ自分のほうが照の左おっつけに動かされるような左への回り込みでしたから、照ノ富士としてもついていきやすい体勢、足運びになった。
これが先場所の嘉風みたく、鋭く当たって相手を起こし、すかさず崩してその後の攻めもスムーズに、上下のバランスもよく突き進んでいく相撲を取れるならば、さしもの大関とて、かき乱される可能性は大いにあります。
大関としては、そうさせないために、昨年九州同様、右差し、左おっつけ狙いで踏み込みすぎず、体を前に倒し加減に構えて取るのがベストか。張って止めに行く選択肢もありますが、中に入られるリスクも有るだけに・・・

この点、照は上記した右差し狙い(あるいは、そこから左で引っ掛けて横に突いたり、左上手を狙いに行くパターンを)を目論んでいるときは、先に両手を下ろして待つケースは少ないので、嘉風が仮にこの形が嫌ならば、焦らせて先に手を下ろさせるなりの駆け引きがあるだろうし、照としては逆に後から手を付きたいですから、そこら辺のせめぎ合いにも注目したいですね。

対戦も序盤が予想されるだけに、嘉風は元気に体が動く段階のはずで、勝ち負けは別に熱のこもった一番になることを期待したい。


稀勢の里×碧山
総括であれだけ書いて、またか・・・と思うでしょうけど、今場所の展望はしていなかったので、改めて。
で、稀勢がこの対戦で張り差しを使うようになった(またそれ以前に筆者が張り差しを使うべきと書いてきた)経緯は再三述べたとおりですが、簡単に書くと踏み込む右足(親指)の負傷で重たい相手の圧力を受け切れない内容が続いていたのと、碧山が張り差しに来る想定および張り差しへの対策が出来ずに、出足が止まってしまうケースが多く見られていたため。

翻って現時点ではどうかというと、これも繰り返しになりますが、稀勢の里の右足は順調に回復し、碧山は張り差しへの想定および対策を十分にとれるようになりました。
・・・となると、立合いをどうすべきか自ずと答えが出るはず。すなわち25年九州以前に復し、しっかり踏み込んで出足を受け止めつつ、突いてくる手を跳ね上げて横から崩していくという流れに持ち込めむべきだろうと考えます。後は碧山がモーションをつけて立合いの呼吸を意図的に狂わせにかかるので、それに惑わされることさえなければ、圧勝することはなくとも取りこぼす相手ではないでしょう。

気になるのは、今場所前の稀勢って春日野勢との間で十分な番数をこなせているのかな?報道では関連記事を見つけられなかったので、やってないのだとすれば・・・


白鵬×大砂嵐
先々場所は大砂嵐の不戦敗ということで、久々の対戦に。大砂嵐は過去2回かち上げやもろ手ではなく、いきなり右を自分から差しに行くような立合いを見せているので、前回はやや簡単に攻めていったところで強烈な右の掬い投げが飛んできて、横綱がぐらつく場面も。
ただ、さすがにこの横綱がそうそう同じ手は食わないはずで、いきなりの右四つになれば、慌てずにじっくり取って力の差を魅せつける。

「違い」が起きるとすれば、やはり大砂嵐が序盤突き放して白鵬の上体を起こし、力ませて、その後の展開に移れるかどうか。 喉輪から素首落とし気味の引きで強引に刈り倒せば、案外今の横綱は脆いかもしれない。
横綱は大砂嵐のもろ手を警戒し、下から掬うように立ってくるかもしれませんが、密着されそうになったらすぐ左右(できれば右か)いずれかに下がり、引き落としを狙うのも作戦の一つになりうるでしょう。


鶴竜×栃煌山・稀勢の里
鶴竜が横綱になって以降初の優勝を目指す上で、やはり楽日の白鵬戦を前に最低でも同点の星を維持しておくことが必須。そのために、越えるべき壁が苦手とする栃煌山であり、稀勢の里ということになるわけですが、共通している点として、本来鶴竜の方が低く構えて居なければならない腰の位置が同じくらいにあるんですよね。。
その上で、栃煌山には突っ張る手を跳ね上げられ、引くところにつけ入られる。稀勢の里にはおっつけも絡めた突き放しからそのまま突き出されたり、胸を合わされてしまったりて、いずれも得意の前廻しを引いて食いつく形を作らせてもらえないままに・・・というのが負けパターン。

ゆえに、いかにして立合いで先手を取って、相手の上体を起こした上で中に入っていくかということですが、鶴竜には白鵬の微妙に呼吸をずらす技術も、日馬富士の瞬発力もないのがまた悩みどころ。
裏を返せば、この2横綱でさえ、稀勢の里、栃煌山という相手には十分に研究して、オリジナルの対処法を編み出しているわけで、それだけこの2人が強いということなんですよね。

いろいろ考えてみたのですが、結局根本的な解決策は見出だせず仕舞い。流石に両方にやるわけにはいかないですが、優勝が極めて近い状況が目前にあるならば、立合いで動くことも戦略の一つにはなるでしょうね。

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