嘉風雅継 出身:大分 生年:昭和57年 所属:尾車 身長:177センチ 体重:145キロ タイプ:突き押し・左四つ
<立合い分析>
左差し右おっつけで攻め寄せる素晴らしい型を持ってはいるが、幕内上位でいきなり差しに行くような立合いに出てはどうしても体力負けしてしまう。それ故、まずは相手との距離を取ることを目指し、突き放していくのが主要パターンである(以後の流れについては<攻防>の項にて詳述する)。
もっとも体重が150キロ近くまで増えて安定した最近は、格下(特に体格が自分と同等かそれ以下の場合)相手に鋭い当たりから左差しないし二本差して一気に走る相撲も目立つようになってきた。
<立合い分析>
左差し右おっつけで攻め寄せる素晴らしい型を持ってはいるが、幕内上位でいきなり差しに行くような立合いに出てはどうしても体力負けしてしまう。それ故、まずは相手との距離を取ることを目指し、突き放していくのが主要パターンである(以後の流れについては<攻防>の項にて詳述する)。
もっとも体重が150キロ近くまで増えて安定した最近は、格下(特に体格が自分と同等かそれ以下の場合)相手に鋭い当たりから左差しないし二本差して一気に走る相撲も目立つようになってきた。
踏み込み足:左足がメイン 右からおっつけたい場合など、時折右足から出ることも。
手つき:先に両手を下ろして相手の手つきを待つ
呼吸:上述の通り、基本的には先に両手を付いて待ちたい。綺麗に両手をついた姿勢は模範的ではあるものの、相手と呼吸を合わせずさっさと構えに入ってしまうため、呼吸整わず不成立となるケースも。
また、対戦相手も自分同様先に両手を下ろしたい人である場合には、当然どちらが先に手を下ろすか(あるいは下ろさせるか)の駆け引きが生じることとなり、総じて不成立の数は多めとなっている。
☆主な立合い技
①ぶちかまし
②左差し
当たりながら差そうとする場合もあるが、それはどちらかと言えば①の範疇。こちらは左肩を出し気味にしてまともに左を差そうとする狙い。体に厚みが出てきたので、幕内中軸くらいのさほど大きくない相手には、この形でも十分安定する。
③差し手固める
頭で当たるのは変わらないが、相手が差してくる側の腕を固め、多少そちら側へずれ気味に当たりながら跳ね上げるようにし、もう片方の手では相手の肩や胸を突いて相手を起こす。素早く二次攻撃へと進展させやすいのが長所。
④頭で受ける
やや表現が難しいが、低く頭で当たりながらもあまり踏み込まず、相手の当たりを受けるようにすることである種後の先的に先手を取ろうとする狙い。相手とすれば、いつもどおりに当たってくるところを起こしたいはずが、思ったよりも出てこないために、その結果として低く入られてしまう。
29年九州の白鵬戦を連想されるだろうが、決してあの場の思いつきというわけではなく、それ以前から敢えて受けるようにすることで相手の下に入らんとする狙いはよく採っており、まっすぐ踏み込むこともあれば、相手の立合いに応じて角度をつけ、下から宛がうように崩すなりして自分の間合いに持ち込んでいくこともある。
「横綱に当たられても大丈夫」という本人のコメントには相応の裏付けがあるわけだ。
件の白鵬戦もそうだが、どちらかと言えば対戦歴が豊富で、従来の立合いでは上手く行っていない相手への対応策(陽動策)として用いる場合が多い。
⑤もろ差し
<攻防分析>
張りを交えた上下の動きから中に切り込んでいく速さ、出足の良さ、左差し右おっつけの型の良さとそれに伴う足運びの美しさ、必ずひとつ前に仕掛けておいてから放つ肩透かしや出し投げのキレ、左右の宛てがい、相手の張りにも顔を差し出すようにして全然動じぬ姿勢の良さなど、攻守に渡って長所を挙げ始めれば枚挙に暇がない。
土俵際に寄り詰めた流れで渡し込み加減の足取りに出たり、中に入ったとき、首や背筋の強さを生かして吊り寄りに出たりと基本技以外のバリエーションも多彩。
☆主な得意技
①上下の動き
立合い③のようにして突き起こし、少し距離が出来たところで、突っ張りや張りを交えつつ、上下に体勢を揺らしてかき回し、相手の動きもよく視ながら隙が出来たところを疾風怒濤のごとく斬りこみ、左差しあるいはもろ差しの体勢に持ち込む。このように動いても足が揃わず腰も崩れず、出足早に攻め寄せていくサマは壮観である。
また、対戦相手も自分同様先に両手を下ろしたい人である場合には、当然どちらが先に手を下ろすか(あるいは下ろさせるか)の駆け引きが生じることとなり、総じて不成立の数は多めとなっている。
☆主な立合い技
①ぶちかまし
②左差し
当たりながら差そうとする場合もあるが、それはどちらかと言えば①の範疇。こちらは左肩を出し気味にしてまともに左を差そうとする狙い。体に厚みが出てきたので、幕内中軸くらいのさほど大きくない相手には、この形でも十分安定する。
③差し手固める
頭で当たるのは変わらないが、相手が差してくる側の腕を固め、多少そちら側へずれ気味に当たりながら跳ね上げるようにし、もう片方の手では相手の肩や胸を突いて相手を起こす。素早く二次攻撃へと進展させやすいのが長所。
④頭で受ける
やや表現が難しいが、低く頭で当たりながらもあまり踏み込まず、相手の当たりを受けるようにすることである種後の先的に先手を取ろうとする狙い。相手とすれば、いつもどおりに当たってくるところを起こしたいはずが、思ったよりも出てこないために、その結果として低く入られてしまう。
29年九州の白鵬戦を連想されるだろうが、決してあの場の思いつきというわけではなく、それ以前から敢えて受けるようにすることで相手の下に入らんとする狙いはよく採っており、まっすぐ踏み込むこともあれば、相手の立合いに応じて角度をつけ、下から宛がうように崩すなりして自分の間合いに持ち込んでいくこともある。
「横綱に当たられても大丈夫」という本人のコメントには相応の裏付けがあるわけだ。
件の白鵬戦もそうだが、どちらかと言えば対戦歴が豊富で、従来の立合いでは上手く行っていない相手への対応策(陽動策)として用いる場合が多い。
⑤もろ差し
<攻防分析>
張りを交えた上下の動きから中に切り込んでいく速さ、出足の良さ、左差し右おっつけの型の良さとそれに伴う足運びの美しさ、必ずひとつ前に仕掛けておいてから放つ肩透かしや出し投げのキレ、左右の宛てがい、相手の張りにも顔を差し出すようにして全然動じぬ姿勢の良さなど、攻守に渡って長所を挙げ始めれば枚挙に暇がない。
土俵際に寄り詰めた流れで渡し込み加減の足取りに出たり、中に入ったとき、首や背筋の強さを生かして吊り寄りに出たりと基本技以外のバリエーションも多彩。
☆主な得意技
①上下の動き
立合い③のようにして突き起こし、少し距離が出来たところで、突っ張りや張りを交えつつ、上下に体勢を揺らしてかき回し、相手の動きもよく視ながら隙が出来たところを疾風怒濤のごとく斬りこみ、左差しあるいはもろ差しの体勢に持ち込む。このように動いても足が揃わず腰も崩れず、出足早に攻め寄せていくサマは壮観である。
②左差し右おっつけ
攻勢に移る際のスピード感もさることながら、守勢に回った際にも、左の差し手を活かしつつ右からおっつける型がハマれば実に粘っこく、下がりそうで下がらない。隙間を作っておいての肩透かしなどに進展させるのもパターンで、それだけで決まらずとも、相手の体形を崩すことで逆襲への起点とする。
差したときの体勢によっては、右おっつけの補助として首を相手の顎の下やときには脇のあたりに入れて、持ち上げるようにするのも特徴的で、これによって相手の腰をすっかり伸び上がらせてしまう。
攻勢に移る際のスピード感もさることながら、守勢に回った際にも、左の差し手を活かしつつ右からおっつける型がハマれば実に粘っこく、下がりそうで下がらない。隙間を作っておいての肩透かしなどに進展させるのもパターンで、それだけで決まらずとも、相手の体形を崩すことで逆襲への起点とする。
差したときの体勢によっては、右おっつけの補助として首を相手の顎の下やときには脇のあたりに入れて、持ち上げるようにするのも特徴的で、これによって相手の腰をすっかり伸び上がらせてしまう。
③宛てがい
密着されると手強い嘉風に対し、積極的に距離を取ろうとする相手も多く、ときには苛烈な張り手を交えるなどして執拗に上体を起こしにかかるが、そうした狙いは先刻承知、突き放しに来る手を左右の手で巧みに宛てがい、張りに対しても定石通り顔を差し出すようにして半身にならず前傾で宛がう構えを崩さない。
下から下から正確に手を出していくことで相手の体形を崩しやすく、突き返したりハズにかかったりして逆襲に転じることができるし、少し攻め返したところで上下の動き(①)から左差し右おっつけ(②)の体勢に持ち込むことも可能だ。
とにかく下がりそうで下がらないのが強みであり、俵に足がかかったとしても足が揃わない(かつ低い)ので、俵の力を存分に使うことにより寧ろ粘っこさを倍加させるのである。
<平成30年の見どころ>
29年秋場所前に首を痛めた影響か、総ての局面においてやや機敏さを欠き、動きが遅れ加減に感じたのが気がかり。30代半ばを過ぎ、体力・地力を維持させるだけでも並大抵のことではないが、「もう一つ上の地位へ」という本人の気力にはいささかの翳りもなく、どこまでもひたむきなその姿には頭が下がる思いしかない。
立合いの呼吸具合についても、不成立の多さに対する反省をたびたび口にし、最近はいくらか相手を待つような動きも見せるようにもなってきた。非常に研究熱心なこの人のこと、従来の立ち方のみに固執せず、新たなものを取り入れることによって得られる境地もあろう。なおも止まらぬ進化の果てに、大関という名の栄光がある。
密着されると手強い嘉風に対し、積極的に距離を取ろうとする相手も多く、ときには苛烈な張り手を交えるなどして執拗に上体を起こしにかかるが、そうした狙いは先刻承知、突き放しに来る手を左右の手で巧みに宛てがい、張りに対しても定石通り顔を差し出すようにして半身にならず前傾で宛がう構えを崩さない。
下から下から正確に手を出していくことで相手の体形を崩しやすく、突き返したりハズにかかったりして逆襲に転じることができるし、少し攻め返したところで上下の動き(①)から左差し右おっつけ(②)の体勢に持ち込むことも可能だ。
とにかく下がりそうで下がらないのが強みであり、俵に足がかかったとしても足が揃わない(かつ低い)ので、俵の力を存分に使うことにより寧ろ粘っこさを倍加させるのである。
<平成30年の見どころ>
29年秋場所前に首を痛めた影響か、総ての局面においてやや機敏さを欠き、動きが遅れ加減に感じたのが気がかり。30代半ばを過ぎ、体力・地力を維持させるだけでも並大抵のことではないが、「もう一つ上の地位へ」という本人の気力にはいささかの翳りもなく、どこまでもひたむきなその姿には頭が下がる思いしかない。
立合いの呼吸具合についても、不成立の多さに対する反省をたびたび口にし、最近はいくらか相手を待つような動きも見せるようにもなってきた。非常に研究熱心なこの人のこと、従来の立ち方のみに固執せず、新たなものを取り入れることによって得られる境地もあろう。なおも止まらぬ進化の果てに、大関という名の栄光がある。