千代の国憲輝 出身:三重 生年:平成2年 所属:九重 身長:181センチ 体重:145キロ タイプ:突き押し・撹乱型

<立合い分析>
思い切りよくぶちかましていく当たりがベース。ただ、どうしても上体が力み加減で起きやすく、相手を外に弾くような格好になるので脇も空きやすいのが難点である。
四つ身の相手に対しては、嘉風のように相手が差してくる側の腕を固め、多少そちら側へずれ気味に当たりながら跳ね上げるようにし、もう片方の手では相手の肩や胸を突いて相手を起こす狙いを徹底、貴景勝や大翔丸のように自分よりも小さくかましてくる人には、白鵬のように左張り&右かち上げの立合いを用いることも。


踏み込み足:右 北勝富士ほど派手ではないが、時間いっぱいの仕切りで腰を割る前に、右→左と土を踏みしめる動作を見せる。
手つき:左→右の順に下ろして相手を待つのと、相手に待たせてチョン立ちで出るのとの併用。後者のケースでは手つき不十分のケースが散見される。また、相手の仕切り方や手つき位置に応じて、自身の手つき位置をやや前後に修正する。
呼吸:いわゆるルーティンめいた動きを取り入れるので、やや遅いという感はある。腰を割ってから立つまでの間には余分な動作がない。
 

<攻防分析>
立合いの項でも記したとおり、どうしても突っ張るときに上体は力んで外に圧力が逃げるし、足はつま先立ちでバタつくようになるという大きな欠点を抱えているのだが、28年、怪我を乗り越えて関取に還ってきた頃から、前後上下の動きを利用して、その空間なり奥行きで相手を惑わせる上手さが身についた。
すなわち、独特の素早さや身のこなしの良さがあるので、張り手やフェイントのような動作も交えながら相手の上半身をおびき寄せておいて、そこでサッと体を開くという具合である。
グイグイと番付を押し上げた28年九州に幕内中位の番付で負け越し、この戦略もだいぶ覚えられ始めたかに思われたが、同じような相手との対戦に同じような相撲で挑みながら、29年も中位近辺では大いに通用、上位初挑戦の機会も手にしたのは立派だった。

相変わらず突き落とし・はたき込み・引き落とし等による勝率は驚異的とも言える数値を叩き出しているが、反面、この決まり手群(ないし、強引な投げ技による決着)から多少なりとも脱却していかないことには、「上位定着」の目標にはなかなか届いていかないことも自明であろう。
引き合いに出している嘉風がグンと強くなったのは、相手の体勢を崩しておいて、サッと中に飛び込んみ、左差し右おっつけで出て行く構えの良さと速さがあるから。
これに対して千代の国の場合は、まだまだ相手との間合いをはかりながら、最後は引き叩きで勝つ相撲であり、やはり自分なりの前に出ていく形・流れをいかに固め、深めていくかというテーマを我慢強く乗り越えて行きたい。


<平成30年の見どころ>
上記のような課題を十分に噛み締めつつも、怪我による休場もなく年間通して幕内中位以上を維持し、大いに自信をつけた一年であったろう…と締められるはずが、一年納めの一番で右足首を痛めてしまったようなのが気がかり。ひとまず重傷でないこと、来る初場所で、その勇姿が見られることを祈りたい。