土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

Category:幕下以下ランキング > 30年

中日を終えて、幕下以下はほとんどの力士が4番目の相撲を取り終えた。
今場所目を引くのは序二段における経験豊かな力士たちの頑張りだ。
以下、当ブログが注目する4人の力士を挙げたい。


須磨ノ海  高田川部屋 
平成4年生まれの26歳だけにベテランという年齢ではないが、中学卒業後の入門とあって初土俵から10年以上が経過しているということを考えれば、この地位ではキャリア十分の存在と見做される。
実績も高く、26年3月に自身初めて三段目一桁の地位を経験すると、その後も後一歩で幕下に届く状況を幾度も作りながら惜しくも届いてこなかった。
昨年3月に自身3度目となる一桁の地位で負け越して以降は苦戦が続き、今場所はおよそ5年ぶりとなる序二段陥落の場所。流石にここまでは力の違いを見せている。
標準的な体格から小気味良く突き押し・いなしを繰り出して相手を崩さんとする取り口。まだまだ老け込む年ではなく、今場所、家賃安の番付で勝ち込むことによって再起への手がかりを掴みたい。


謙豊  時津風部屋
東農大相撲部出身の29歳は、豊ノ島の付け人としてもお馴染み。240キロ近い体重で大露羅が引退した後の角界最重量力士となった。
デビュー1年足らずの23年5月には早くも新幕下へと入るも、その後は手の怪我などで低迷し、三段目と序二段を往復。昨年後半からは蜂窩織炎に苦しむなど休場が続いて、今年1月には番付外にまで落ちてしまったが、3月の復帰以降干支ひとまわり前後若いような新弟子たちとの対戦も重ねながらコツコツ頑張り、序二段中位まで戻した今場所の4連勝に繋げている。
豊ノ島の奇跡的なカムバックにも刺激を受けていないはずはないだろう。先場所の朝倉に続く時津風勢の序二段優勝を目論む。


太田  山響部屋
平成11年のわんぱく横綱としても知られる31歳。160センチ台のアンコ型で、24年5月には三段目優勝を果たし、同年9月には最高位となる幕下20枚目まで浮上している。
25年以降は三段目以下での土俵、最近は序二段が定位置となり、去る9月場所は序ノ口に近い地位まで落としてしまったが、復調の兆しあり。ここらでもうひと頑張りしてもらわねば。
全盛期は丸い体を生かした押しだけでなく、中に入る上手さにも定評があった。


魁ノ若  友綱部屋
かつて魁皇の付け人としても有名だった39歳の大ベテラン。
平成13年名古屋に三段目優勝、翌秋場所での幕下13枚目が自己最高位だ。
一時はゆうに250キロを超えていた体重を糖尿病の治療のため25年に170キロ台まで落とすと、以降も漸減し、130キロ台まで落ちたことも。
番付もそれに伴い、おおよそ序二段中位以下に安定していたが、最近になって再度150キロ台まで回復、今場所の映像を観ていると、更にもうひと回り大きくなった感さえある。
厚みを増した体を躍動させ土俵上では元気いっぱい。重みのある突き押しで相手を起こしてからの叩きという往年の取り口が戻ってきたかのようである。
仮に全勝を果たしたならば実に6年ぶりとなる三段目復帰も確実となるが、ともあれどこまで星を伸ばしていけるか楽しみにしたい。
明日11日目は幕下北磻磨の弟・龍野湖と対戦する。

今場所分は順位のみの更新と致します。あしからずご了承ください。

目前ランキング
1千代の海 九重 H5年 182 126 西筆頭
2木﨑  木瀬  H5年 176 136 東4枚目
3一山本 二所ノ関  H5年 186 132 東5枚目
4村田  高砂  H6年 182 157 東7枚目
5若元春 荒汐  H5年 185 127 東10枚目
6琴太豪 佐渡ヶ嶽 H5年 188 138 西10枚目
7友風  尾車 H6年 183 169 東13枚目
8湘南乃海 高田川 H10年 194 156 西11枚目
9玉木 高砂 H6年 180 140 東12枚目
10若隆元 荒汐 H3年 184 117 西13枚目 


再起ランキング
1天風 尾車 H3年 184 201 東筆頭
2栃飛龍 春日野 S62年 177 154 東2枚目
3常幸龍  木瀬 S63年 188 156 西2枚目
4希善龍 木瀬  S60年  195 160 東3枚目
5出羽疾風 出羽海 H元年 178 138 西5枚目

6天空海 立浪 H2年 183 171 西3枚目
7北磻磨 山響 S61年 181 124 西4枚目
8豊ノ島  時津風 S58年 169 156 東14枚目
9炎鵬 宮城野 H6年 169 94 東6枚目
10富士東 玉ノ井 S62年 180 172 西8枚目

先場所は明瀬山関に大変申し訳ないランキングとなってしまいました。どうしても6枚目以下に落ちて「やや家賃の軽い地位で全勝するのでは?」という人を見つけたくなるのですが、引き続き入れ替わりの多い場所が続きそうな向こう数場所を見据えても、改めて5枚目以内の力士優先で仕上げていくべきですね。


目前ランキング
1白鷹山 高田川 H6年 185 158 東筆頭
病気を乗り越え、およそ2年ぶりとなる自己最高位タイへと還ってきた。この連載でもすっかりお馴染みの存在となっている人、今場所こそ「目前ランキング」からの卒業を果たして欲しい。

2若隆景 荒汐  H6年 181 119 西筆頭
先場所の幕下優勝で一気に筆頭へと躍進した東洋大出身のホープは、久々に現れたおっつけ・絞りの名手となりうる素材。相撲力の塊のような取り口と体つきは、3代目若乃花を髣髴とさせる。引き続き立合いおよび体力面の強化を地道に進めれば、自ずと視界は拓けるだろう。

3千代の海 九重 H5年 182 126 東5枚目
自己最高位となる初の10枚目以内へ進出した先場所、物言いのつく際どい勝負を2番制するなど、よく攻めよく残して、見事勝ち越し。1勝3敗と後がなくなってからも相撲ぶりに変化なく、小さな体で正攻法の突きに徹していたのも立派。やや番付運に恵まれて初の5枚目以内進出となるが、通用するだけの地力は具えている。
立合いの果敢な突っ込みも爽快ながら、勢いがありすぎて却って出足(二歩目)の伴わない場面が散見されるのは考えどころ。この相撲の型ならば、相手なりの出方をより細かく仕込んでいけば良いのかも。

4極芯道 錦戸  H8年 181 154 東4枚目
過去1年で4度も6-1の好成績を残し、遂に初の5枚目以内へ進出してきた。
片足を引いた体勢で低く構え、その腰の重さを存分に生かした持久戦含みの戦法から異様に相撲の長い力士として有名であり、初場所もその印象を薄めることなく、虎太郎・里山との我慢比べを制している。
確かに相手からすると攻めづらいタイプ(負けにくい相撲とも言い換えられるか)ではあるが、10枚目以内への進出は初めてであり、最上位のスピードと激しさの前にどれだけ通用するか。千代鳳をひとまわり消極的にしたような、あまり居ないタイプゆえ興味深いところではある。

5木﨑  木瀬  H5年 176 136 東7枚目
ここ数場所ずっとトップ5入りで書き尽くしてしまったが、ひとまず下げが止まって再浮上への機運を高められた。実弟の三段目格付出デビューも決まり、発奮材料には事欠かない。


6若元春 荒汐  H5年 185 127 東12枚目
7一山本 二所ノ関  H5年 186 132 東11枚目
8靍林  木瀬  H8年 179 135 西6枚目
9村田  高砂  H6年 182 157 東13枚目
10湘南乃海 高田川 H10年 194 156 西13枚目



再起ランキング
1大成道 木瀬  H4年 180 159 西2枚目
先場所は「勝てば幸運な返り十両も…」という7番目の相撲で敗れたものの、2場所ぶりの勝ち越しで返り十両に向け好位置にいることは変わりない。腰の具合など体調面さえ整えば、新十両直前の場所で書いたような「自分の距離感」も取り戻せるはず。

2出羽疾風 出羽海 H元年 178 138 東2枚目
幕下陥落から2年近く経っているものの、その筋肉質な体型は一層凄みを増している感がある。
以前は愚直に左から踏み込んでの右四つ狙いという立合いを採っていたが、ここのところもろ差しを狙ったり挟み付けてみたりと幅が拡がった。左四つの芝に対し、立合い失敗で腰が浮いてまともに差し負ける格好も構わず、右から右から攻めてねじ伏せてしまった一番など左四つの進境も著しく、(相手にもよるが)半身になりがちな右四つよりもかえって持ち味は出やすいか。

3朝弁慶 高砂  H元年  189 193 西3枚目
先場所の翔猿同様、1点の負け越しにも関わらず番付の降下を1枚半に留めて好機継続。周囲の相手も先場所よりは取りやすいタイプが多いか。

4栃飛龍 春日野 S62年 177 154 東3枚目
先場所最終盤、惜しくも敗れたとはいえど十両残留に向け鬼気迫る相撲内容で場内を大いに沸かせた。折角3年ぶりに掴んだ関取の椅子、ここで再度幕下上位の渦に呑まれてはほしくない。好漢の奮闘に期待しよう。

5天鎧鵬 尾上  S59年 184 189 西4枚目
出羽疾風同様、最後の十両在位から2年ほど。一時はズルズルと幕下下位まで落ちた幕内経験者がコツコツ番付を挽回し、目下5場所連続の勝ち越しで久々の5枚目以内カムバックだ。先場所勝ち越しを決めた一番では、ホープ湘南乃海に左上手を許すも、得意の右差しでどっしりと構え、じわじわと攻め返す内容で、型の違い・経験の違いをみせつけた。
兄弟子里山の存在はもちろん、大学の1年後輩にあたる明瀬山が11場所ぶりの十両復帰を決めたことも大いなる励みとなっているはず。


6天空海 立浪  H2年 183 171 西5枚目
7希善龍 木瀬  S60年  195 160 東8枚目
8里山  尾上  S56年 175 125 西14枚目


→4日目終了後
7位以下の更新、完全に忘れていました(汗)2番終わった状態ですが、今更ながら。
(先場所のようなことがない限り)既に8人まで絞られているので、9位以下はなしで。
    

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