土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

Category:幕下以下の力士 > 高砂一門

九重部屋 所在地 東京都葛飾区奥戸
<所属年寄・裏方一覧>
師匠 九重(元大関・千代大海)
年寄 谷川(元関脇・北勝力)
年寄 佐ノ山(元小結・千代鳳)
行司 木村容堂(三役行司)
行司 木村晃之助(三役行司)
行司 木村龍之助(序二段行司)
呼出 重夫(三役呼出)
呼出 重太郎(十両呼出)
呼出 重次郎(三段目呼出)
床山 床岳(一等床山)
床山 床九(一等床山)



<近況>
・3年2月、先代以来の墨田区石原から葛飾区奥戸の新部屋へ移転。
・2年1月、千代嵐が史上最長ブランクとなる8年半ぶりの十両返り咲き。1場所で陥落もすぐに再十両を果たす。
・その千代嵐より一つ年上。31歳の千代栄が4年夏、自己最高位&自身初の5枚目以内となる東3枚目に躍進。遅咲きの新十両へ大きなチャンス到来だ。



千代の海(生年:平成5年早 出身:高知 身長:182センチ 体重:136キロ 初土俵:平成27年夏)
宿毛高ー日体大。小気味良い突き押しの相撲で十両通算14場所も、左肘手術の影響により幕下下位まで降下した。
3年九州・4年春はいずれも最初の相撲から6連勝するも、優勝には届かず。それでも4年夏場所は東筆頭、およそ1年ぶりの関取復帰は目前だ。


千代栄(生年:平成2年 出身:京都 身長:181センチ 体重:164キロ 初土俵:平成21年初)
京都共栄学園高時代は柔道をしており、平成21年初場所、相撲経験なく高卒で入門。3年半で幕下に上がると、以後おおむね定着して通算在位は56場所を数える実力者だ。
過去、一桁の番付に進出した3場所はすべて1勝6敗に終わり、上位では家賃の高さを感じさせていたが、4度目の挑戦となった令和4年春、西6枚目で5勝をあげ、来る夏場所は東3枚目に躍進。デビューから13年半にして訪れた最大のチャンス、遅咲きの花を咲かせたい。

柔道経験者の名残と言えるかどうかはさておき、引退した栃飛龍(春日野)のように上体の力が強いタイプ。ゆえに、相手を弾いたり押さえたりする動きには長けているのだが、膝や足首に故障を抱える下半身が硬く、常に揃いがちであるため、出足に欠ける点が課題となってきた。
「相手を起こすこと自体は出来ているので、その次の足を素早く運び、片方喉輪・もう一方でおっつけるような構えに入って相手と密着しながら押せれば、すぐにでも十両が狙える地位に安定できそう」
とは、2年前の当連載における評論だが、ここ数場所、足のもつれないし揃いが緩和され、求める通りの相撲内容が現出している。
初の5枚目以内で迎える勝負の場所も勝算は十分。あとは慢性的に悪い下半身の状態をいかに安定させながら場所に入れるか。本人の努力だけでは防ぎきれない面もあるが、なるべく悪化させぬよう最大限のケアに努めてほしい。


千代ノ皇(生年:平成3年 出身:沖縄 身長:178センチ 体重:152キロ 初土俵:平成22年春)
ご存知幕内経験者。古傷とも持病とも言うべき腰の故障によって、再度幕下からの出直しを強いられている。早いものでもうすぐ31歳になるが、年上の千代栄は新十両に向け気力旺盛、同学年の千代嵐も8年半ぶりの十両復帰を経て、目下定着を目指し奮闘しているだけに、こちらもまだまだ老け込んではいられない。


千代大牙
(生年:平成12年早 出身:大阪 身長:171センチ 体重:126キロ 初土俵:平成30年春)
高校時代は大阪の城東工科高で柔道をしていた。
30年春初土俵から同九州には早くも三段目昇進。令和2年には定着、3年には上位進出を果たして9月新幕下。4年春、通算2場所目の幕下で6勝1敗と大勝し、今年を幕下定着の一年としそうな勢いだ。

体は小さいながらも右四つの力相撲。腕っぷしが強く、また兄弟子千代ノ皇のようなうっちゃり腰も魅力。右四つだが右の廻しを引けば強いタイプで、右おっつけから右差しに繋げる良い型も持っている。
もっとも、4年夏は初の幕下中位。ここから先を目指すためには、まだまだ決め手不足が否めず、しばらくは壁に当たるだろう。簡単に右を差させてもらえず、また差したとしても自分よりも数段大きな相手といかに渡り合うか。今後の成長を楽しみに視ていきたい。


千代雷山(生年:昭和62年 出身:和歌山 身長:189センチ 体重:152キロ 初土俵:平成18年春)
来る4年夏場所では実に7年ぶり、34歳での最高位更新(東34枚目)と元気いっぱい。
190センチ近い長身、上体を仰け反らせながら下から差し込んでいく正代型の取り口は変わらないが、腰を据えてどっしり相手の突きを受け止め、前に出ていく圧力は前回の最高位更新時を上回るほど。次の目標は幕下の半分より上、20枚目台への進出だ。


千代虎(生年:平成15年 出身:佐賀 身長:176センチ 体重:129キロ 初土俵:令和元年夏)
中学卒業後の初土俵から半年が経った元年九州、再起途上にあった宇良を倒して一躍その名を揚げた。
その後も順調に番付を上げ、4年初、春と最高位で勝ち越し。夏はいよいよ三段目一桁で幕下挑戦の場所を迎える。

相撲経験を有しての入門だけに、立合いひとつかまして突き起こすことを知っているのは大きい。突き押しを得意としつつ、左四つに組んでも腰の重さを発揮できるタイプではあるが、胸を合わせたり半身に構えたりの相撲に頼るのは危険。立合いの厳しさを磨くか、上体を起こさぬ粘っこさを伸ばすか、向こう数年の発展に期待したい。


千代大豪
(生年:平成10年早 出身:兵庫 身長:186センチ 体重:132キロ 初土俵:平成28年名古屋)
28年名古屋のデビュー時、総合格闘技出身の経歴が注目を浴びた異能派力士。元年名古屋にデビューから3年で幕下に上がるも、首の痛みに悩まされ、三段目に落ちた翌秋場所~九州場所を全休。序二段から再起を遂げ、2年11月には幕下に復帰するが、今度は左膝を痛めて3年夏~秋まで3場所連続休場の憂き目を見た。九州での復帰以降3場所が経過、まずは幕下カムバックが目標となる。


千代大宝(生年:平成13年 出身:山口 身長:174センチ 体重:145キロ 初土俵:平成29年春)
相撲経験を有して中学卒業後に入門した。同部屋の行司・木村龍之介は実弟。
デビューから1年半で新三段目、その後怪我で序ノ口まで番付を落とす時期もあったが、あまり尾を引くことなく三段目に戻り、着実に最高位をクリア。4年夏は東35枚目といよいよ上位をが見える地位に上がってきた。
体型に合ったモコモコっとした押しに、馬力もついてきて俄然楽しみが増しつつある。


千代天富(生年:平成12年早 出身:東京 身長:172センチ 体重:116キロ 初土俵:平成27年夏)
相撲経験なく中学卒業後に入門。前相撲では全部負け、5年ほど序二段で苦戦。同学年で弟弟子の千代大牙に三段目昇進で先を越されたが、千代の天から現四股名に改名直後の令和2年春、序二段上位で6勝して文句なし。コツコツと押す力を磨き上げてきた成果を花開かせた。
その後は一度も三段目の地位を明け渡すことなく、2年近く中位近辺で安定。そろそろ幕下に向けて歩みを進めていきたい時期だ。
基本に忠実な低い押しといなしのコンビネーションで小気味よく動いていく相撲は、部屋OBの千代白鵬(元幕内)タイプ。


千代の勝
(生年:平成6年 出身:沖縄 身長176センチ 体重:132キロ 初土俵:平成25年春)
高校卒業後の平成25年春場所初土俵。中部農林高の先輩である千代ノ皇同様に右四つのまともな相撲で、さほど体に恵まれてるわけでもないために三段目が3年あまりと長く、30年にようやく幕下定着を果たした。
右差しのまともな立ち合いゆえ受けに回りがちで、うっちゃり腰を持つことが却って怪我のおそれを倍加。元々両膝を悪くしていたところ、ついに3年秋、九州と全休して三段目下位まで後退を強いられると、4年初場所で復帰も本調子には程遠く、春は三段目中位で負け越した。
なかなか味のある力戦派ではあるが、年齢的にも正念場の時期を迎えている。


千代北海(生年:平成7年 出身:北海道 身長:172センチ 体重:125キロ 初土俵:平成30年初)
札幌大でアメフトを経験し、卒業後角界に飛び込んだ異色派。3年かけて三段目に上がり(3年初)、1場所で陥落した後、来る4年夏に2度目の三段目昇進を果たした。
大卒だけに年齢は重ねているが、まだまだこれから。(見た目より体重はないものの)体型的にはやはり突き押し。立合いにもろ手でいく分、多くなりがちな叩きも悪癖ではなく武器として高めていきたい。


千代獅子
(生年:平成17年 出身:富山 身長:182センチ 体重:140キロ 初土俵:令和3年春)
小中と相撲で実績を残し、中学卒業後に入門。序ノ口についた3年夏に右足首の断裂の重傷を負い、前相撲から出直しとなったが、復帰後は3場所勝ち越しを続けて、来る4年夏を新三段目として迎える。
経験豊富なだけに、頭でかます当たりで先制、前に出ながら得意の左を差していく流れはスムーズ。稀勢の里のような、あるいは郷土の先輩・朝乃山の得意四つをひっくり返したような、左でおっつけながらの左差しも魅力いっぱいで、堂々たる体格を持て余さずに使うことができている。
ただ、足首の状態はまだまだ万全には遠いようで、将来を考慮しても、今は怪我を悪化させないことが最重要。垂涎のホープとはいえ、あくまで長い目で見ていきたい。


千代大和(生年:平成13年早 出身:愛知 身長:180センチ 体重:135キロ 初土俵:令和2年7月)
2年7月初土俵カルテットの一人。父がプロレスラー、自身は相撲経験なく高卒後に入門したが、デビュー翌年の令和3年には、序二段で2度(春・九州)最初の相撲から6連勝を経験し、早くも素質の片鱗を覗かせた。4年夏、弟弟子の千代獅子と同じタイミングで新三段目の土俵に上がる。
胸を出す立合いで腰も高いので先手を取られやすいが、下から跳ね上げ、あるいは逆に突き返して逆襲に転じる。まだまだキャリアも浅く、体も大きくなっていくだろう。地道に今の相撲を伸ばしていけば大成の余地もありそうだ。


千代大聖(生年:平成13年 出身:熊本 身長:179センチ 体重:187キロ 初土俵:令和2年春)
相撲経験はなく、熊本・開新高では柔道をしていた。身長を上回る体重の持ち主、その体を生かしきれているとまでは言えないが、4年春にはデビューから2年で新三段目。同世代の力士が同程度の番付にひしめき合う環境にも刺激を受けながら、徐々に番付を上げている。


千代煌山(生年:平成12年 出身:東京 身長:176センチ 体重:145キロ 初土俵:令和元年夏)
四股名の読みは「ちよこうざん」。元年夏に19歳で入門。相撲経験はなく、柔道をしていた。
3年夏、3番目の相撲で腰を痛めて途中休場。状態が心配されるも翌場所元気に出場し、秋場所からは3場所連続の勝ち越しで千代大聖との同時新三段目が実現した。
その新三段目場所でも二丁投げを見せた通り、柔道経験の名残を残しつつ、ずんぐりとした体型通りの突き押しも成長中。


千代烈士(生年:平成15年 出身:富山 身長:174センチ 体重:119キロ 初土俵:令和2年7月)
2年7月初土俵カルテットの一人。
朝乃山の恩師として知られる故・浦山直樹氏の誘いで相撲を始め、高岡向陵高を中退して17歳で入門。風貌がなんとなく朝乃山に似ている。
初土俵から1年で新三段目、以降定着していたが、4年夏は久々の序二段在位となってしまった。
サイズがない割には四つに組んで大きい相撲を取る千代大牙、千代虎に近いタイプだが、ここ最近は立合いでかませるようになり、突き起こして先手を取る意識が根付きつつある。
かつて在籍した千代の烈を思い出させる四股名。


千代大光
(生年:平成13年 出身:大阪 身長:178センチ 体重:130キロ 初土俵:平成29年春)
相撲経験なく中学卒業後に入門。左膝の大怪我と2度にわたる手術により序ノ口や前相撲からの出直しを強いられながらも、そのたびにコツコツと番付を戻し、序二段上位へ返り咲いている。
初土俵から5年、だいぶ体が大きくなってきて、今年中には念願の三段目昇進を果たしたい。


千代太陽(生年:平成13年 出身:東京 身長:176センチ 体重:87キロ 初土俵:平成30年夏)
相撲経験はなくレスリングをしていたが、中央学院大中央高を中退して17歳で入門。若き日の千代翔馬を思わせるキビキビとした動きで令和3年秋には三段目に昇進している。
デビュー当時の70キロからは15キロ以上増えているものの、体力面の不足は依然明らかで、遠ざかっている三段目への復帰&定着に向けてはボリュームアップが不可欠。
本名は木下祐希(きのしたゆうき)で、部屋付き・佐ノ山親方(千代鳳)の木下祐樹と読みが同じ。


千代青梅(生年:昭和61年早 出身:東京 身長:173センチ 体重:98キロ 初土俵:平成16年春)
部屋の力士の中では現役最古参の36歳、ちゃんと長としての活躍ぶりもよく知られている。
先代(千代の富士)期は三段目に上がるまで四股名を貰えなかったので、デビューからまる10年は本名の兼子で取っていたが、26年春、ついに昇進を決めて地元青梅にちなんだ現四股名に。


千代福(生年:平成16年 出身:栃木 身長:173センチ 体重:155キロ 初土俵:令和2年7月)
2年7月初土俵カルテットの一人。中学では野球をしており、硬式野球クラブで全国大会出場経験も。
初めは千代泉志で取っていたが、3年名古屋からは丸々とした体つきにピッタリな現四股名に改名。
そろそろ序二段の下位から抜け出して、三段目への足がかりを作りたい。
もろ手で突くor右を差して丸い体を生かすという方向性そのものは千代丸に近く、大目標として掲げていきたい。


千代剣(生年:平成15年 出身:千葉 身長:168センチ 体重:94キロ 初土俵:令和元年名古屋)
相撲経験を持って中学卒業後に入門。
網膜剥離のため3年夏以降休場、4年初場所に前相撲から復帰も、同場所デビューの新弟子が強すぎ、8戦全敗という気の毒なことになってしまった。それでも序ノ口に戻った春場所は千秋楽に見事勝ち越した。今度は序二段での勝ち越しを目指す。


千代天照(生年:平成16年 出身:愛知 身長:167センチ 体重:91キロ 初土俵:令和2年7月)
2年7月初土俵カルテットの一人。地元の海部津島相撲クラブで経験を積み、中学卒業後に入門した。
体型も相撲の取り方も近い1年兄弟子の千代剣との切磋琢磨が楽しみだ。
四股名は本名(財部天照)に由来しているが、ほんの半年前に同音の千代天勝(令和元年夏初土俵、同九州限り引退)がいたので、短期間での「復活」に驚いた。


千代の道(生年:平成17年早 出身:千葉 身長:167センチ 体重:100キロ 初土俵:令和4年春)
相撲経験を持ち、高校を中退して17歳で入門。4年春はコロナ特例措置により前相撲が行われなかったため、初めて番付に載る4年夏場所が事実上の初土俵。この人に限らないが、実際に観られる日が待ち遠しい。





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八角部屋 所在地 東京都墨田区亀沢

<所属年寄・裏方一覧>
師匠 八角(元横綱・北勝海)
年寄 陣幕(元幕内・富士乃真)
年寄 東関(元小結・高見盛)
参与 大山(元幕内・大飛)
行司 木村要之助(幕内格行司)
行司 木村亮輔(幕下格行司)
呼出 大吉(幕内呼出)
呼出 悠真(序ノ口呼出)
床山 床路(三等床山)


<近況>
・3年4月、閉鎖が決まった高見盛の東関部屋から力士・年寄・行司・呼出の計8人が加入。
・大器北の若がいよいよ本格化。きたる3年九州、初の5枚目以内躍進で関取昇進に挑む!
・17歳にして幕下に上がったホープ・北勝翼、首の怪我に泣き、3年7月限りで無念の引退。



北の若(生年:平成12年 出身:山形 身長:189センチ 体重:148キロ 初土俵:平成31年春)
埼玉栄高で高校横綱に輝き、鳴り物入りで入門。各段優勝こそないものの、負け越しなしで幕下一桁まで進む(2年11月)と、数場所一進一退ののち、3年名古屋5勝・同秋6勝と勝ち込んで急上昇。内容的にも「化けた」と思わせる相撲が多く、5枚目以内で迎える九州の土俵、どこまで勝てるか楽しみでならない。

左で小さく一歩踏み込み、左でおっつけやハズにかかってからの左差し、左四つに組み止めるや引っ張り込んだ右で上手を引いて胸を合わせ、休まずにがぶり立てるという取り口に再現性が現れるように。

長身足長の体型ですから、どうしても被さり気味に寄っていく体勢になりやすいところ、本人もその欠点を意識しているのか、相手と十分に胸を合わせてがぶり気味に出たり、小さい相手にも頭をつけるなど型を作ってから勝負をつけにかかる慎重な寄り身が目立ちます。

とは以前の記事にて記した北の若の特徴だが、最近の相撲のようにして組み止め、胸を合わせて出られるのであれば、勝ち味が遅いどころか、これほどに早く、大胆かつ安全な勝ち方ができる。
技術面もそうだが、大きな相撲に土台が揺るがぬ体力面の発展も著しく、いよいよ「自分の相撲」と言い切れるものを見出しつつあるようだ。
懸案としては、右前廻しでの食いつき・左半身など、戦術的な左四つに持ち込まれた際の対応力。この点については、継続調査ということで、本場所観戦記なり、次に纏まった形で取り口分析を行う機会なりに回したいと思う。


北勝輝
(生年:平成5年 出身:大阪府 身長:191センチ 体重:161キロ 初土俵:平成28年春)
近大相撲部では朝乃山・玉木(いずれも高砂)と同期。28年春の入門後、幕下昇進~上位近辺への進出までは順調に来ていたが、そこで出世が止まり、15枚目以内の在位は一度のみ。
2年秋には北勝陽から北勝輝(ほくとうき)に改名して心機一転を図ったが、好転には至らず、3年九州はおよそ5年ぶりに三段目まで番付を落としてしまった。

立合い右でかち上げ、相手を起こしてから左四つに組み止める取り口。懐の深さは魅力も、慢性的に左膝や腰が悪く腰高のため、出足がある相手に弱く、組んでからも運び足の精度に課題を抱える。
立ち合いのかち上げは正代のように勢い込んで踏み込んでいくスタイルだが、決して相手に圧力が伝わっているとは言い難く、却って自分を棒立ちにさせてしまう場面が目立つ。兄弟子の隠岐の海チックに…というか、もう少し慎重な取り方で(自分の動きを最小限に留め)相手を捕まえることに専念してみても良いのでは?


隠岐の浜(生年:平成9年 出身:島根 身長:184センチ 体重:166キロ 初土俵:平成25年春)
隠岐の海や幕下隠岐の富士らと同じ隠岐郡隠岐の島町出身。相撲経験を有して中学卒業後に入門(25年春場所)すると、2年足らずで新三段目入り。29年頃から上位に定着し始め、幕下目前という場所が続くも、掴みきれずにいるうち、30年九州で左膝を痛め長期休場の憂き目に。元年夏場所で復帰して序二段下位からの再起をはかること1年、2年春場所に三段目上位で5勝をあげて、漸く初の幕下昇進を手中に収めることができた。
3年以降は三段目で取り続けるも、秋場所で6勝をあげ、九州は自己最高位を10枚以上更新する西31枚目まで躍進する。

体当たり気味に出て、右差しないし二本差し込みながらの速攻はなかなかに鋭いが、上体が反ったままで攻める癖がある。膝の不安も拭いきれてはいない現状、もう少しでも背中を丸くして、差してからの細かい技術にも関心を払えるようになっていくかどうか。
3年秋の相撲をじっくり見ていて、だいぶ体が大きくなったなあと感じたが、やはり昨年度分と比べて10キロ近く増えていた。ぱっと見より上背もあるので、三段目上位の番付では多少上手が深くとも胸を合わせてしまえば十分に補える。今後を見据え、相手によって速攻で行くのか捕まえに行くのか、戦法を使い分けていくプランを持ってみては?


海士の島(生年:平成4年 出身:島根 身長:179センチ 体重:122キロ 初土俵:平成23年夏)
隠岐の海・隠岐の富士らの隠岐郡隠岐の島町ではなく、隠岐郡海士町出身。23年夏初土俵で、24年秋場所新三段目。三段目中位で長く雌伏の時期を過ごしたが、29年秋に入門6年目で新幕下昇進を果たすと、4度目の返り咲きとなった元年名古屋以降定着に成功し、最高位を毎場所のように更新。
2年春場所に6番勝って、7月場所では15枚目以内目前の東17枚目まで番付を上げた。

代名詞でもあった足取り狙いの立合いは封印気味。左足を前に出した格好で構え、突いてくる人には左右のあてがい、差してくる人にはおっつけて対処、大きな人には食い下がっての寄り身、小兵同士なら頭四つで持久戦も厭わず…など、基本的には相手に合わせた相撲を取る。
たしかに積極性に欠けるきらいはあるが、だからこそ形を崩しにくく、また相手は相手で足取りをやってくるという警戒がある分、見てくれることが多いので、自分のペースに持ち込みやすい利点をよく生かしている。
失礼ながら、ここまで強くなるとは想像できなかったというのが率直な感想で、積み重ねてきた努力の質量に敬意を表するばかり。一昨年志半ばで引退した実兄・海士錦の分まで、さらに上の番付を目指してほしい。


北勝川(生年:平成6年 出身:北海道 身長:172センチ 体重:141キロ 初土俵:平成25年春)
旭川大高での柔道経験を経て入門。デビューから2年半で幕下昇進(27年秋)した後は膝の故障などで苦しんだが、次第に復調し、29年以降は概ね幕下に定着。元年秋には幕下15枚目以内も記録している。2年後半以降、また左膝などの状態が悪く、休場場所が増えているのは気がかり。

師匠と同じ&この部屋にとても多い柔道経験者の一人だが、早い時期から投げ技などには頼らず、重心の低さを活かした押し相撲一本。差してくる相手などに対して、片方をおっつけ、もう片方をハズや喉輪にかかって押す型がハマった際の勝ち味は実に美しい。怪我さえなければ幕下中位以上に定着できる実力はあるのだが・・・


北勝就(生年:平成6年早 出身:広島 身長:186センチ 体重:143キロ 初土俵:平成24年春)
広島県の強豪野球部から相撲経験なしで入門し、28年に初土俵から4年あまりで新幕下昇進。大味な取り口ゆえなかなか幕下に定着できず、体調不十分だった30年上半期には一時三段目下位まで落ちるも、下半期で盛り返して幕下返り咲くと、31春には6勝と大勝を収め、翌夏場所で1年半ぶり&従来の地位を20枚近く上回る自己最高位を記録した。ただ、その後は下位での土俵が続いており、なかなか再上昇へのキッカケを掴めずにいる。

長身かつ筋肉質な体つき、脇の甘さと腕っぷし強く右で極め上げ、強引に振り回す様は「万歳三杉」こと関脇若三杉(大豪)を彷彿させる。2年前に大勝ちしたときの相撲内容も従来の延長線上にある強引な勝ち方が多かっただけに、上位定着に至らなかったのはやむを得ないところ。
前哨戦で突っ張るか、上手からの相撲を覚えるか。大器ではあるが、もう一皮剥けるには相撲内容の改良が必要だ。


隠岐の富士(生年:昭和63年早 出身:島根 身長:180センチ 体重:168キロ 初土俵:平成18年春)
どちらの四つでも体を生かして前に出る圧力が武器。持ち前の重い腰で若手の壁となっている。
3年初場所では4年半ぶりに最高位を更新(幕下西11枚目)するなど、まだまだ元気な33歳だ。


北勝丸(生年:平成12年早 出身:モンゴル 身長:190センチ 体重:123キロ 初土俵:平成30年九州)
東関部屋からの加入組。初土俵以来、イメージによく合った大天馬を名乗っていたが、移籍を機に現師匠の「北勝」と亡くなった先代東関(潮丸)の「丸」を合わせた新四股名に改名している。

均整の取れた体つきと、頭で一つかましていける立ち合いが魅力。
3年初場所新幕下も在位3場所で跳ね返され、最近は結果がほしいのか、腕の力だけに頼る雑な相撲が多い。せっかく大きな怪我をせずに来ているのだから、足を止めず、相手を見すぎずに、低く攻めきる相撲を我慢強く伸ばしてほしい。
土台の良さを損なわずに育っていけるかどうか、この1~2年が重要な時期になる。


美登桜(生年:平成4年 出身:長崎 身長:180センチ 体重:152キロ 初土俵:平成20年春)
入門時は富士櫻の中村部屋。東関を経て、今度の八角部屋が自身3部屋目の所属となる。「桜」の字は中村部屋在籍時の名残。そういう経緯もあってか、唯一北勝系の四股名に改めることはなかった。

2年九州では4年半ぶりに幕下で勝ち越すも、3年春以降は再度三段目での土俵が続き、休場明けの7月は久々の三段目下位。さすがに家賃が安く、最初の相撲から6連勝と意地を示した。
押すにしても組むにしても、右の脇が空きやすいのが従来からの難点。ゆえに、どうしても大きな相撲になりやすく、なまじ足腰の良さがある分、膝の怪我などに繋がってしまう。


北勝龍(生年:平成10年早 出身:北海道 身長:180センチ 体重:128キロ 初土俵:平成28年春)
高校時代は柔道と並行して相撲も経験。3年春、入門から5年かけて新幕下を掴むと3連敗スタートもよく立て直して3勝。その後、7月を全休して心配されたが、下位から出直しとなった9月は5勝をあげて再浮上への第一歩を踏んだ。

右差し、左でおっつけながら出足をつけて前に出る相撲だが、軽量の上、立合いが正直すぎるだけに、突き押しの力士にとっては押しやすく、立合いで起こされ前後への脆さを露呈したのが新幕下場所の相撲内容。組んでも、両膝とも悪いので下半身の力を使い切れず、出足が止まってしまうと伸び上がるような寄り方になりやすい。さらに上を目指すべく、立合いの瞬発力を磨き、呼吸を学んで、妙義龍のような速攻相撲に活路を見出したい。


北勝岩(生年:平成15年 出身:北海道 身長:179センチ 体重:118キロ 初土俵:平成31年春)
相撲経験なく中学卒業後に入門、中学時代は野球をしていた。
出世は非常に順調で、3年秋、17歳で新三段目に入るといきなり5勝をあげ、九州では中位まで進出する。

立合いしっかり踏み込んで、下から押し上げるにせよ食い下がって崩すにせよ、なかなか理に適った動き方ができるのは、変な癖がついていない未経験の力士ならではの吸収力か。
現四股名は部屋OBの元十両が由来ではなく、岩見沢出身の「岩」とのことだが、懐かしい四股名の復活であることに変わりはない。先代とは正反対の体つきで、新たな北勝岩伝説を!


北勝伊(生年:平成9年 出身:北海道 身長:179センチ 体重:145キロ 初土俵:平成28年春)
柔道経験を経て高卒後に入門。四股名は、本名の「伊」藤や、出身の虻田郡洞爺湖町に隣接する「伊」達市にちなんでいる。
この人もまた膝に白いものをつけているが、前へ前へと相撲に迫力が出てきたのは明るい兆し。入門6年目を迎え、地味ながらも三段目定着の足がかりを掴まんとしている。


北勝誉(生年:平成6早 出身:福島 身長:171センチ 体重:109キロ 初土俵:平成23年秋)
不振や怪我により、新幕下目前から1年で序ノ口まで落ちる苦労を味わったが、時間をかけて失地回復。3年秋は1年半ぶりの三段目復帰で見事に勝ち越した。依然、往時の体調には遠そうだが、粘り強く再浮上を期してほしい。


北勝栄(生年:平成11年 出身:北海道 身長:190センチ 体重:135キロ 初土俵:平成30年春)
北海道栄高時代は柔道。長身でスケールの大きさは感じさせつつ、膝の怪我を抱えながら心臓に悪い相撲を取っていたが、ここ1年ほどで三段目に定着し、立合いでかましたり、辛抱強く前に出たりする相撲も徐々に増えてきた。


北勝岩見(生年:平成6年 出身:北海道 身長:180センチ 体重:149キロ 初土俵:平成25年春)
北海道岩見沢市の出身。高校時代は柔道をしており、相撲経験なく入門。近年は左四つの取り口で概ね三段目に定着しているが、立合いがおとなしく受けがちゆえ、上位~幕下を目指すには決め手不足の感がある。


北勝八雲(生年:平成16年早 出身:北海道 身長:178センチ 体重:139キロ 初土俵:平成31年春)
北海道二海郡八雲町の出身。相撲経験ありで中学卒業後に入門し、3年九州では序二段一桁番付まで上がってきた。目立ちはしないが、順調な歩みと言えるだろう。
膝の怪我こそ気になるものの、体に厚みを付けながら出足十分、気風の良い相撲を取っている。


北勝大(生年:平成3年 出身:神奈川 身長:179センチ 体重:164キロ 初土俵:平成26年夏)
東関部屋からの加入組。移籍を機に本名の札野から現四股名へと改めた。
関東学院大でアメフトをしていたが、膝の怪我で入院していた3年時、先代東関(潮丸)と同期の元十両若東龍(現役時は松ヶ根部屋)に誘われ入門を決意した変わり種。
30歳を過ぎたが土俵年齢は若く、3年名古屋には最高位も記録。新たな環境でもう一旗あげてほしい存在だ。


北勝空(生年:平成12年 出身:北海道 身長:178センチ 体重:151キロ 初土俵:平成31年春)
相撲経験あり。大野農高を経て入門も、高2時に膝を痛めており、デビュー後も数度休場があった分、出世のスピードはゆっくり。3年以降皆勤と勝ち越しが増えて、九州では序二段東15枚目まで躍進。


藤の谷(生年:平成9年 出身:広島 身長:165センチ 体重:106キロ 初土俵:平成25年春)
相撲経験なく中学卒業後に入門すると、小さな体でよく奮闘し、最高位三段目中位(西53枚目)。三段目と序二段との行き来が続く現状からの脱却を図る。やや上体が起き気味。あくまで前傾に徹したい。


北勝旺
(生年:平成4年 出身:福島 身長:197センチ 体重:126キロ 初土俵:平成20年春)
角界随一の長身力士。幕下通算4場所の実力者だが、3年春場所で全敗を喫するなど、ここ1年ほどは元気なく、序二段まで落ちてしまった。


北の峰(生年:平成5年 出身:福岡 身長:185センチ 体重:106キロ 初土俵:平成22年春)
父は九重部屋の元幕下・北の峰。軽量特有のキビキビとした動きで三段目を主戦場に善戦していたが、30年名古屋以降、再生不良性貧血の難病により2年半もの休場を強いられ、令和3年初場所で復帰。勝ち越しを続け、秋に三段目返り咲きを果たしたのは立派の一言に尽きる。


北勝波(生年:平成5年 出身:北海道 身長:171センチ 体重:126キロ 初土俵:平成24年春)
旭川龍谷高での柔道経験を経て入門。三段目通算3場所の実績を持つベテラン。


北勝真(生年:平成13年 出身:長野 身長:172センチ 体重:130キロ 初土俵:平成29年春)
東関部屋からの加入組。初土俵以来本名の松岡で取っていたが、移籍を機に現四股名へと改めた。


北勝泉(生年:平成10年早 出身:広島 身長:174センチ 体重:126キロ 初土俵:平成28年春)
広島の広陵高で柔道をしていた。膝が悪そうで、最近はやや休場がちに。


北勝潮(生年:平成12年 出身:青森 身長:174センチ 体重:127キロ 初土俵:平成28年春)
前名は亡くなった先代東関(潮丸)から一字を貰った青乃潮。移籍を機に2人の師匠の名を併せ持つ現四股名に改めた。


北勝里(生年:平成4年 出身:広島 身長:178センチ 体重:134キロ 初土俵:平成23年技量)
3年秋はおよそ5年ぶりに更新した最高位(序二段西54枚目)で7戦全敗。


北村(生年:平成14年 出身:北海道 身長:183センチ 体重:169キロ 初土俵:令和3年春)
中学・高校で柔道を経験。堂々たる体躯で楽しみな素材だが、3年秋場所は全休。





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錦戸部屋

<所属年寄・裏方一覧>
師匠 錦戸(元関脇・水戸泉)
年寄 千田川(元小結・闘牙)
行司 木村錦太郎(三段目格行司)
呼出 鶴太郎(序二段呼出)
床山 床中(一等床山)

<近況>
・2年7月限りで龍雅、3年3月限りで東照錦が引退。コロナ禍に小所帯での活動を余儀なくされるのは辛いところだが・・・
・3年1月に富士泉が入門したのは明るい材料。叩き上げながら、7月には早くも三段目目前の番付まで上がってきた。


幕下以下・所属力士紹介
若ノ湖(生年:平成9年早 出身:東京 身長:180センチ 体重:125キロ 初土俵:平成24年春)
父と二人の兄も最高位幕下の元力士(もうひとりの兄は錦戸部屋所属の呼出)。元年九州、左肘の怪我によって入門以来初の休場を経験したこともあり、翌2年初場所から長兄(元高田川部屋の鶴乃湖)の四股名にあやかった新四股名へと改名している。

基本的には二本差したい人で、足腰のバネは良く上手さもあるが、まともな取り口で立ち合いもおとなしく、小さい人特有のいやらしさに欠けるため、大きい相手があまり取りづらそうにしていない。
それでも体重がだいぶ増えて当たりの鋭さは着実に向上中。変にケレンを覚えるよりも、さらに圧力を増し、出足を高めて、いずれは幕内佐田の海のように鮮やかな速攻を身に着けてほしいものである。
正攻法の取り口に体力強化が本格的に追いつくであろう3年後あたりが大化けの頃合いと見た。それまでに大きな怪我をしないよう祈りたい。

と書いたのが一昨年度分。しかし、想像以上に番付を上げた(西18枚目)元年名古屋で左肘を痛めてしまい、同九州での休場を経て2年は中下位を往復。3年に入り、初~春と連続の大勝ちで夏場所は最高位タイまで番付を上げるも、最初の相撲から6連敗と上位の壁はなお厚かった。

筆者が大化けの頃合いと見た時期まであと半年~1年ほどだが、怪我や、(小所帯のため)コロナ禍で十分に稽古を詰めない環境なども祟り、本格化にはもう少しかかるのかもしれない。


福島(生年:平成8年 出身:兵庫 身長:182センチ 体重:164キロ 初土俵:平成24年春)
十両経験者の極芯道として記憶しているファンも多いだろう。
2年7月場所後、新型コロナウイルス対応ガイドライン違反によって2場所の出場停止処分を受け、序二段まで番付を落とした3年初場所からは本名の福島に改名。同場所、復帰の土俵に上がり、同名古屋で幕下返り咲きを果たしている。
膝の具合はまだ5割程度ではないかと見るが、少しずつ状態を上向かせながら這い上がってほしい。


富士泉(生年:平成16年 出身:山梨 身長:184センチ 体重:155キロ 初土俵:令和3年初)
3年初場所初土俵のホープ。中学校時代から錦戸部屋に通って稽古をしていた。
富士錦(6代高砂)富士櫻(10代中村)を輩出した、高砂系・山梨出身力士の系譜を感じさせる良い四股名を貰ったが、母方の高祖母の兄弟には高島部屋の元関脇輝昇がいるという家系の持ち主でもある。
17歳にして堂々たる体格を誇り、荒削りながら左四つの型もあるが、今は立ち合いからの突き押しを磨く時期だろう。将来的には朝潮(先代高砂)のような馬力相撲へ!




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