土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

Category: 2019年

12日目の展望
1遠藤--●-●-白鵬10
最近の対戦では、白鵬が体当たりの立合いから左右へいなして密着を許さずに取る狙いを徹底。遠藤の低い立合いを警戒してか張り差しの立合いに出ることはなくなっており、たしかに体当たりでほどほどに当たりつつ、相手を見ながら自在に動いていくという戦法がもっとも安全と言えるのでしょう。
とにかく組み付かれさえしなければどうにでも成るというのが白鵬のプラン。張り差しの余地があるとすれば、明生戦のように一度不成立を挟んだ2度目なりに、右で張りながら左へ動くくらいか。

遠藤としては、うーん…正直これといったアイデアはありませんが、白鵬が迂闊な右張り左差しの立合いに来てくれることに望みを抱いて、初勝利をあげたときのようなベストの立合いを目指すしかないのかなと。

極めて可能性の低いボツネタで行くなら、先場所御嶽海戦で見せた右四つ仕様の立合いが面白い。左足から踏み込む右四つ狙いであえてミスマッチを狙い(つまり重心を右足ではなく左足の方に傾け)、左前廻しを取って白鵬の右を殺せば、白鵬はこれを抜いてくれるので左を深く差せる、そこから右前廻しを引く体勢へと進展させられれば勝機が出てくるかもしれません。
この場合の肝はひとえに左足から踏み込む当たりの精度。白鵬の右かち上げに起きず、左前廻しを引く、ないし左おっつけで右を殺せるかどうか。おっつけの角度が良ければ、朝乃山戦のような左巻き替えという流れもハマりやすい。
遠藤がこうした戦術を頭の片隅にでも置いているのなら支度部屋でも一定の準備はするはずなので、NHKのレポーターがその旨を伝えるようならにわかに期待感は高まります。


2御嶽海---○○●朝乃山1
要となるべき右からの攻めが高く、どうにも攻めの格好が定まらない今場所の御嶽海。いかに一番相撲で驚異的な強さを発揮するとはいえ、日の出の勢いの朝乃山を止めるにはエンジン不足が否めないか。
立合いで左上手を与えない上手さ、あるいは取られても体を入れ替えるような動きで巧みに切ることもできますが、その後勝ちに持っていくための手続きをどうするのか。

奇襲案としては、やはりというべきか御嶽海が時折繰り出す立合い変化が挙げられます。無論あまり見たくはないのですが、反面、今の朝乃山が変わられたときにどういう対処を出来るか見てみたいところではありますし、特に右(朝乃山から見て左)への変わり身はほぼほぼ予想していないと思うので、当たると見せてパッと右へ飛ばれたときについていけるかどうか…ですね。

11日目の展望
0竜電----●-白鵬1
今場所の竜電は最近になく下半身の脆さを感じさせる相撲内容で、突き押し力士の攻勢にあっけなく押し出されたり、2日連続で相手の右変化に足を送れずバッタリと落ちていたりと不調。
となると、白鵬の戦法も右(竜電から見れば左)回りが基本線になるのか。ただ、名古屋での初対戦時も右で張っての左四つ狙いを採っているだけに、竜電サイドから見た絞りやすさを嫌うのであれば、別の作戦(左で張って左上手など…)も。こればっかりは分からないとしか書きようがありません。
竜電側の視点から共通して言えるのは、差すにせよ上手を引くにせよ左を主体に組んでいきたいのが現状の白鵬なので、左が使いづらくなるような取り方を出来るかということ。
おとなしい相撲という先入観を生かして、もろ手突きから猛然と突っ張るなり喉輪で押すなりの奇襲があれば…というのは絶対に実現しないオプションですが、意表をつける可能性は高い。やれれば面白い展開になりそうだけどなあ。
※中村親方の「白鵬を倒すなら立合いしかない」という解説も踏まえて、今場所からは本来ならボツネタになるような対白鵬用の奇襲案も提示してみたいと思います。


1宝富士●○●●--朝乃山4
ケンカ四つながら、最近の対戦では宝富士が立合い頭でかましつつ左からおっつける狙いで取っている。しかし今の朝乃山は相手がどう来ようと、胸で当たり右かち上げと左上手狙いの立合いで進撃あるのみ。優勢に立つ公算は高いだけに、あとは詰めの局面で左からの攻めを怠らずに宝富士得意の逆転技を防げるかどうかだけ。


貴景勝×碧山については一点だけ。貴が今日の取組で左目を負傷したことに鑑み、碧山が得意とする右への回り込みにスンナリ足を送っていけるかという見どころを挙げておきます。

3貴景勝--○---隠岐の海1
貴景勝が負けたのは昨年夏、休場明けの序盤ゆえ明らかに本調子ではなかった。
直近の今年初場所と3回前に対戦した一昨年の九州では、貴景勝がコメントを付ける余地がないほどの電車道で圧倒しており、やりづらいという感覚はないだろう。
現状貴景勝がもっとも恐れているのは立ち合いに飛び道具を持つタイプだろうと思うので、本来組まれるはずだった阿炎戦が消え、まともな相撲の隠岐の海と組まれてることは幸運だと思いたい。
ただ、隠岐の海も今場所はかなり立ち合いが鋭く、ほとんど当たり負けていない。加えて今日の遠藤戦は今まで見たことがないような果敢な攻め・ワイルドな相撲を取っており、明日も「まずは相手を受け止めておいて、やおら攻め返す」という従来的な取り口とは違う思い切った攻めが飛んでくるかもしれない。
土俵人生最大のチャンスを前に何をするか隠岐の海。とはいえ、貴景勝はあまり考えすぎない方がいい。勝っている時の良いイメージがあるのだから、それを崩さないよう向かっていくことに尽きるのだろう。


5御嶽海---○●○遠藤4
4場所連続の対戦で、御嶽海の2勝1敗。過去5戦で見ても御嶽海の3勝2敗と拮抗している。
ポイントはとにかく遠藤が右前廻しを引けるか。御嶽海はこれを許さず、またはすぐに切って突き押しの攻防に持ち込んでいけば優勢となる。負けた夏場所は、その廻しに構わず強引に出ようとするも攻めきれずに墓穴を掘った雑な相撲。この対戦においては、攻めのスピードよりも相手に組み付かせぬための一手間・二手間を惜しまぬ我慢強さこそが不可欠であることを肝に銘じたい。
2度目の幕内優勝を目前に控え、「この一番」への集中力には人並み外れたものがある御嶽海ならば、そうそう安易な過ちは犯さぬはず。きっちり勝って、決定戦に駒を進めてくれるものと期待している。



※決定戦については、明日実際に対戦カード(或いは行われること自体)が決まってからツイッターにでも書こうと思います。

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