二所ノ関部屋 所在地 茨城県つくば市天久保→令和4年5月より茨城県稲敷郡阿見町
<所属年寄・裏方一覧>
師匠 荒磯(元横綱・稀勢の里)
年寄 中村(元関脇・嘉風)
行司 木村猿之助(幕下格行司)
呼出 禄郎(十両呼出)
<近況>
・3年8月、田子ノ浦部屋から力士4人、行司1人を引き連れ部屋創設。
・国技館から遠く離れた茨城県阿見町での旗揚げプランも話題に。4年5月に新部屋が完成するまでは、つくば市・筑波大内の稽古場を借りるとのこと。
・3年12月、翌年1月に定年を控える若嶋津の12代から名跡を譲り受け、13代二所ノ関を襲名。4年初場所からは二所ノ関部屋として、新たなスタートを切る。
・地元茨城・東洋大牛久高相撲部出身の花房が4年初場所でデビューする。実力者の加入は部屋を一段と活性化させるだろう。
・4年1月末開催の理事会で、閉鎖される尾車部屋から年寄1人・力士8人・呼出1人を受け入れることが決まった。部屋への所属は中村(嘉風)の独立準備が整うまでの期間に限られそうだが、コロナ禍の状況下、幕内経験者・友風をはじめとする実力者が多数加わる環境は、新興部屋にとって大きな糧となるだろう。
所属力士紹介
<二所ノ関弟子>
西原(生年:平成14年 出身:兵庫 身長:178センチ 体重:135キロ 初土俵:令和3年春)
報徳学園高相撲部出身。荒磯親方の内弟子として田子ノ浦部屋に入門し、8月の独立に同行した。
経験十分なだけに出世順調で、3年11月は早くも三段目挑戦の場所となる。
力士としての土台を固めるべく、まずは基本の押しを伸ばしていく方針。段階を経て、頭でかませるようになりたい。
→3年11月で見事勝ち越し、部屋初の三段目力士となるも、4年初場所は怪我により全休。
谷口(生年:平成17年 出身:兵庫 身長:167センチ 体重:135キロ 初土俵:令和3年春)
相撲経験ありで中学卒業後に入門。荒磯親方の内弟子として田子ノ浦部屋の門を叩き、8月の独立に同行した。
デビュー場所こそ負け越すも、名古屋・秋と連続で勝ち越し、11月は序二段上位参入。
「小さく入って大きくなる」の定石とは異なり、大きく入っていくような立ち方がゆえに、脇が空いて入り込まれる相撲も多いが、今後順を追って直っていくはず。ゆくゆくは、十両・武将山のような粘っこい押し相撲へと成長してもらいたい。
加藤(生年:平成17年 出身:京都 身長:172センチ 体重:110キロ 初土俵:令和3年春)
相撲経験なく中学卒業後に入門。荒磯親方の内弟子として田子ノ浦部屋の門を叩き、8月の独立に同行した。
デビューから3場所負け越しが続いているものの、同期の相撲経験者2人と比べるのは酷。むしろライバルは、所属が分かれた田子ノ浦の同期同学年・松澤なのだろう。
荒磯親方いわく「乾いたスポンジのように」日々成長中とのこと。初の勝ち越しを達成する日もそんなに遠くはなさそうだ。
足立(生年:昭和60年 出身:神奈川 身長:181センチ 体重:183キロ 初土俵:平成14年夏)
師匠二所ノ関よりも1歳年上&初土俵は1場所遅れ、付け人も務めたベテラン力士が独立に際し同行。
師匠の片腕として、新弟子たちの育成にも携わる。
最高位は三段目74枚目。元年名古屋では最初の相撲から6連勝と、自身初の各段優勝にあと一歩まで迫ったことも。
花房(生年:平成15年 出身:東京 身長:174センチ 体重:123キロ 初土俵:令和4年初)
部屋創設以降では初の新弟子として4年初場所初土俵。東洋大牛久高では3年時に関東大会優勝の実績を誇り、プロの舞台でも再び茨城を根拠地とすることに。決して大きくはないが、ハズやおっつけを得意とする基本に忠実な押し相撲。三段目くらいまでは順調に上がっていきそうだ。
<旧尾車勢>
友風(生年:平成6年 出身:神奈川 身長:184センチ 体重:173キロ 初土俵:平成29年夏)
言わずとしれた元幕内上位。その番付で負った右膝の大怪我と7場所連続の休場を乗り越え、3年春に序二段で復帰を果たすと、以降、全勝こそないものの6場所連続で5勝以上。4年春場所では、いよいよ幕下一桁へ帰ってくる。
「再び土俵に上がるだけで奇跡」と言われたところから幕下上位へ返り咲いただけでも絶賛に値するが、もう一度関取の地位へ戻った日には、その復活劇を何と呼ぶべきか。もっとも、ここから先の番付は簡単に通過できるほど楽じゃない。先走りすぎず一歩一歩前へ進んでいく姿を応援したい。
幕内上位時代の取り口分析は以下
栄風(生年:平成5年 出身:岡山 身長:181センチ 体重:164キロ 初土俵:28年夏)
市川高~日体大を経て、中村親方(嘉風)の内弟子として入門したのが平成28年夏場所。29年初場所で三段目に昇進するも、その後が長かった。実に3年の月日を費やし、令和2年夏場所でついに新幕下。奇しくも同学年の高卒・竜風とのアベック昇進であった。
3年には3場所連続での最高位(東24枚目)も記録。新たな環境での開眼が期待される一人だ。
右四つの型を持つものの、腰が立ちやすく受けがちな取り口、脇が甘く抱え込みやすいこともあり、出足のある押し相撲や低く組みついてくる相手には分が悪い。
長く手放せなかった右膝の分厚いサポーターが1年ほど前からバンドに変わり、それもあっての最高位更新だったのかもしれない。
右差しかつ右からのおっつけが強いという特長は、四つをひっくり返せば新たな師匠・二所ノ関(稀勢の里)に通じるものがあり、その手ほどきを受けない手はないだろう。
竜風(生年:平成5年 出身:秋田 身長:183センチ 体重:139キロ 初土俵:平成24年初)
今回袂を分かつこととなった押尾川(豪風)と同じ金足農高相撲部出身。
三段目上位の最高位から遠ざかり、中位~下位に安住しかける時期もあったが、令和2年初場所6勝~同春場所5勝の大勝ち2回であっという間に幕下へ。デビューから8年かけて新幕下を掴み取った。
その後、右膝の怪我で三段目下位まで後退したが、4場所連続勝ち越しでスンナリ幕下復帰、4年初場所では幕下力士として初の勝ち越しを記録したあたり、本物の地力がついた証拠。今年は満を持して中位ないしそれ以上を目指す年にしたい。
腕っぷしが強そうな筋肉質の体型は、令和2年度版の更新時と比べて体重が15キロほど増え、ややふっくらとした感も。
体は硬く決して腰が下りる方ではないものの、そうした自分の体型に見合った腰の位置、力の入れ具合にコツを見出しつつあるようだ。理想は栃煌山のように立合いで突き起こし、前に出ながら中に入って相手と密着する形。おそらく二所ノ関親方が胸を出してくれるだろうから、これ以上ない練習台としながら自信を深めてほしい。28歳と若くはないが、まだまだ素材として底を見せておらず、栄風同様、新天地での開花は十分にあり得る。
藤川(生年:平成13年 出身:佐賀 身長:172センチ 体重:141キロ 初土俵:平成29年春)
中学卒業後の入門から1年足らずで三段目昇進も、その地位で迎えた30年初場所に膝の大怪我を負い、以後名古屋まで連続休場を強いられてしまった(7番目の相撲で復帰)。
序ノ口まで落ちた秋場所で本格復帰を遂げると、怪我をする前にいた三段目中位~下位でしばらく揉まれつつ、序二段からの出直しとなった2年7月以降、7場所連続の勝ち越し。新幕下を飛び越え、3年7月では幕下27枚目まで駆け上がった。その場所の途中で左の股関節を痛めた影響か、最近やや動きに精彩を欠いているのは気がかりで、4年春は三段目に落ちる公算が高い。
突き押し得意だが、根こそぎ相手を持っていくというタイプではなく、相手をよく視ながら突いていなして崩す相撲。差してくる相手にはおっつけと喉輪で挟み付けたり、押し込んだ流れで左を差して出たり、膠着した状態で蹴返しを用いたりと器用な一面も覗かせるが、それが必ずしも得になるとは限らないというのは、相撲評論の世界で長く述べられてきた通り。
ただ、カテゴリが近い中村親方(嘉風)の薫陶を受けている分、こういうスタイルもありなのかなとは気はしていて・・・何よりまだ20歳と若いので、今後の発展を楽しみに見守っていきたいと思う。
竹岡(生年:平成13年 出身:東京 身長:173センチ 体重:109キロ 初土俵:令和2年初)
新潟・海洋高校相撲部出身。軽量ながら入門から2年足らずで幕下昇進を果たし、同学年の藤川と良い競争を展開している。幕下通算2場所はいずれも負け越しており、まずは幕下定着が目標。とはいえ、体作りもまだまだ発展途上だけに、目先の番付を追う段階ではないだろう。
取り口としては、右足から踏み込んで鋭く相手に突き刺さり、中に入るか、突き起こしておいての去なし・叩きで泳がせるか。その両方を合わせた肩透かしも得意手の一つ。
気になるのは、踏ん張る方の足がまっすぐになっている所以か、立合い当たったときに膝が入りやすく、流れが寸断されて、二の矢の早い展開に持ち込み切れないこと。まともな引きで相手を呼び込みやすいのも、根本の原因はここにありそうだ。
流れの中や差したときの動きにおいても、上体に力が入りすぎているようで、下半身の力を相手に漏らさず伝えられるようになったときが飛躍のタイミングと見る。
宮城(生年:平成11年早 出身:沖縄 身長:170センチ 体重:100キロ 初土俵:令和3年夏)
北部農林高ー日体大。大学時代は体重別の85キロ未満級で優勝歴があり、大学の先輩にあたる中村親方の内弟子として入門。デビューから全場所5勝以上をあげ、下馬評通りの出世スピード。今年中に幕下へ上がり、できれば定着をして、幕下が多い部屋の上昇機運をいっそう高める存在となってほしい。
前相撲で居反りを出したので、島相撲チック取り口なのかなと思っていたが、実際には右足を前に出して構えを崩さずに押し、時々変わり身の鋭さも披露するという翔猿~一木(玉ノ井)ラインに通じる相撲を多く見せている。この相撲を磨き、体も大きくしていけば、いずれ上位を狙っていけるだけの素質は十分。BSで視られる位置まで上がってくる日が楽しみだ。
西田(生年:平成16年 出身:福岡 身長:180センチ 体重:148キロ 初土俵:令和2年春)
相撲経験を有して中学卒業後に入門。恵まれた体躯を生かした正攻法の相撲で3年名古屋新三段目、さらに連続の勝ち越しで中位(東45枚目)まで到達と、十分な早さで番付を上げている。
突き押し主体、前に出る力の養成を目指す二所ノ関塾でしっかりと地力をつけ、いずれ中村部屋を背負って立つ日の土台を築いてほしい。
阿部(生年:平成15年早 出身:神奈川 身長:181センチ 体重:137キロ 初土俵:令和3年春)
舞岡高ではアメフトをしており、相撲未経験で入門も、それなりにキャリアの長い中堅どころからも勝ち星をあげており、すでに序二段上位で通用するくらいの力は持っている。
部屋統合前に対戦経験もある谷口ら、力量の近い相手と存分に稽古できるのは力をつける上で間違いなく好材料。年内はまず三段目昇進を現実的な目標としたい。
参考資料
『相撲』 ベースボール・マガジン社
日本相撲協会公式サイト
初発記事公開は令和3年11月10日。
同12月30日追記。
令和4年2月9日第2弾追記。
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<所属年寄・裏方一覧>
師匠 荒磯(元横綱・稀勢の里)
年寄 中村(元関脇・嘉風)
行司 木村猿之助(幕下格行司)
呼出 禄郎(十両呼出)
<近況>
・3年8月、田子ノ浦部屋から力士4人、行司1人を引き連れ部屋創設。
・国技館から遠く離れた茨城県阿見町での旗揚げプランも話題に。4年5月に新部屋が完成するまでは、つくば市・筑波大内の稽古場を借りるとのこと。
・3年12月、翌年1月に定年を控える若嶋津の12代から名跡を譲り受け、13代二所ノ関を襲名。4年初場所からは二所ノ関部屋として、新たなスタートを切る。
・地元茨城・東洋大牛久高相撲部出身の花房が4年初場所でデビューする。実力者の加入は部屋を一段と活性化させるだろう。
・4年1月末開催の理事会で、閉鎖される尾車部屋から年寄1人・力士8人・呼出1人を受け入れることが決まった。部屋への所属は中村(嘉風)の独立準備が整うまでの期間に限られそうだが、コロナ禍の状況下、幕内経験者・友風をはじめとする実力者が多数加わる環境は、新興部屋にとって大きな糧となるだろう。
所属力士紹介
<二所ノ関弟子>
西原(生年:平成14年 出身:兵庫 身長:178センチ 体重:135キロ 初土俵:令和3年春)
報徳学園高相撲部出身。荒磯親方の内弟子として田子ノ浦部屋に入門し、8月の独立に同行した。
経験十分なだけに出世順調で、3年11月は早くも三段目挑戦の場所となる。
力士としての土台を固めるべく、まずは基本の押しを伸ばしていく方針。段階を経て、頭でかませるようになりたい。
→3年11月で見事勝ち越し、部屋初の三段目力士となるも、4年初場所は怪我により全休。
谷口(生年:平成17年 出身:兵庫 身長:167センチ 体重:135キロ 初土俵:令和3年春)
相撲経験ありで中学卒業後に入門。荒磯親方の内弟子として田子ノ浦部屋の門を叩き、8月の独立に同行した。
デビュー場所こそ負け越すも、名古屋・秋と連続で勝ち越し、11月は序二段上位参入。
「小さく入って大きくなる」の定石とは異なり、大きく入っていくような立ち方がゆえに、脇が空いて入り込まれる相撲も多いが、今後順を追って直っていくはず。ゆくゆくは、十両・武将山のような粘っこい押し相撲へと成長してもらいたい。
加藤(生年:平成17年 出身:京都 身長:172センチ 体重:110キロ 初土俵:令和3年春)
相撲経験なく中学卒業後に入門。荒磯親方の内弟子として田子ノ浦部屋の門を叩き、8月の独立に同行した。
デビューから3場所負け越しが続いているものの、同期の相撲経験者2人と比べるのは酷。むしろライバルは、所属が分かれた田子ノ浦の同期同学年・松澤なのだろう。
荒磯親方いわく「乾いたスポンジのように」日々成長中とのこと。初の勝ち越しを達成する日もそんなに遠くはなさそうだ。
足立(生年:昭和60年 出身:神奈川 身長:181センチ 体重:183キロ 初土俵:平成14年夏)
師匠二所ノ関よりも1歳年上&初土俵は1場所遅れ、付け人も務めたベテラン力士が独立に際し同行。
師匠の片腕として、新弟子たちの育成にも携わる。
最高位は三段目74枚目。元年名古屋では最初の相撲から6連勝と、自身初の各段優勝にあと一歩まで迫ったことも。
花房(生年:平成15年 出身:東京 身長:174センチ 体重:123キロ 初土俵:令和4年初)
部屋創設以降では初の新弟子として4年初場所初土俵。東洋大牛久高では3年時に関東大会優勝の実績を誇り、プロの舞台でも再び茨城を根拠地とすることに。決して大きくはないが、ハズやおっつけを得意とする基本に忠実な押し相撲。三段目くらいまでは順調に上がっていきそうだ。
<旧尾車勢>
友風(生年:平成6年 出身:神奈川 身長:184センチ 体重:173キロ 初土俵:平成29年夏)
言わずとしれた元幕内上位。その番付で負った右膝の大怪我と7場所連続の休場を乗り越え、3年春に序二段で復帰を果たすと、以降、全勝こそないものの6場所連続で5勝以上。4年春場所では、いよいよ幕下一桁へ帰ってくる。
「再び土俵に上がるだけで奇跡」と言われたところから幕下上位へ返り咲いただけでも絶賛に値するが、もう一度関取の地位へ戻った日には、その復活劇を何と呼ぶべきか。もっとも、ここから先の番付は簡単に通過できるほど楽じゃない。先走りすぎず一歩一歩前へ進んでいく姿を応援したい。
幕内上位時代の取り口分析は以下
栄風(生年:平成5年 出身:岡山 身長:181センチ 体重:164キロ 初土俵:28年夏)
市川高~日体大を経て、中村親方(嘉風)の内弟子として入門したのが平成28年夏場所。29年初場所で三段目に昇進するも、その後が長かった。実に3年の月日を費やし、令和2年夏場所でついに新幕下。奇しくも同学年の高卒・竜風とのアベック昇進であった。
3年には3場所連続での最高位(東24枚目)も記録。新たな環境での開眼が期待される一人だ。
右四つの型を持つものの、腰が立ちやすく受けがちな取り口、脇が甘く抱え込みやすいこともあり、出足のある押し相撲や低く組みついてくる相手には分が悪い。
長く手放せなかった右膝の分厚いサポーターが1年ほど前からバンドに変わり、それもあっての最高位更新だったのかもしれない。
右差しかつ右からのおっつけが強いという特長は、四つをひっくり返せば新たな師匠・二所ノ関(稀勢の里)に通じるものがあり、その手ほどきを受けない手はないだろう。
竜風(生年:平成5年 出身:秋田 身長:183センチ 体重:139キロ 初土俵:平成24年初)
今回袂を分かつこととなった押尾川(豪風)と同じ金足農高相撲部出身。
三段目上位の最高位から遠ざかり、中位~下位に安住しかける時期もあったが、令和2年初場所6勝~同春場所5勝の大勝ち2回であっという間に幕下へ。デビューから8年かけて新幕下を掴み取った。
その後、右膝の怪我で三段目下位まで後退したが、4場所連続勝ち越しでスンナリ幕下復帰、4年初場所では幕下力士として初の勝ち越しを記録したあたり、本物の地力がついた証拠。今年は満を持して中位ないしそれ以上を目指す年にしたい。
腕っぷしが強そうな筋肉質の体型は、令和2年度版の更新時と比べて体重が15キロほど増え、ややふっくらとした感も。
体は硬く決して腰が下りる方ではないものの、そうした自分の体型に見合った腰の位置、力の入れ具合にコツを見出しつつあるようだ。理想は栃煌山のように立合いで突き起こし、前に出ながら中に入って相手と密着する形。おそらく二所ノ関親方が胸を出してくれるだろうから、これ以上ない練習台としながら自信を深めてほしい。28歳と若くはないが、まだまだ素材として底を見せておらず、栄風同様、新天地での開花は十分にあり得る。
藤川(生年:平成13年 出身:佐賀 身長:172センチ 体重:141キロ 初土俵:平成29年春)
中学卒業後の入門から1年足らずで三段目昇進も、その地位で迎えた30年初場所に膝の大怪我を負い、以後名古屋まで連続休場を強いられてしまった(7番目の相撲で復帰)。
序ノ口まで落ちた秋場所で本格復帰を遂げると、怪我をする前にいた三段目中位~下位でしばらく揉まれつつ、序二段からの出直しとなった2年7月以降、7場所連続の勝ち越し。新幕下を飛び越え、3年7月では幕下27枚目まで駆け上がった。その場所の途中で左の股関節を痛めた影響か、最近やや動きに精彩を欠いているのは気がかりで、4年春は三段目に落ちる公算が高い。
突き押し得意だが、根こそぎ相手を持っていくというタイプではなく、相手をよく視ながら突いていなして崩す相撲。差してくる相手にはおっつけと喉輪で挟み付けたり、押し込んだ流れで左を差して出たり、膠着した状態で蹴返しを用いたりと器用な一面も覗かせるが、それが必ずしも得になるとは限らないというのは、相撲評論の世界で長く述べられてきた通り。
ただ、カテゴリが近い中村親方(嘉風)の薫陶を受けている分、こういうスタイルもありなのかなとは気はしていて・・・何よりまだ20歳と若いので、今後の発展を楽しみに見守っていきたいと思う。
竹岡(生年:平成13年 出身:東京 身長:173センチ 体重:109キロ 初土俵:令和2年初)
新潟・海洋高校相撲部出身。軽量ながら入門から2年足らずで幕下昇進を果たし、同学年の藤川と良い競争を展開している。幕下通算2場所はいずれも負け越しており、まずは幕下定着が目標。とはいえ、体作りもまだまだ発展途上だけに、目先の番付を追う段階ではないだろう。
取り口としては、右足から踏み込んで鋭く相手に突き刺さり、中に入るか、突き起こしておいての去なし・叩きで泳がせるか。その両方を合わせた肩透かしも得意手の一つ。
気になるのは、踏ん張る方の足がまっすぐになっている所以か、立合い当たったときに膝が入りやすく、流れが寸断されて、二の矢の早い展開に持ち込み切れないこと。まともな引きで相手を呼び込みやすいのも、根本の原因はここにありそうだ。
流れの中や差したときの動きにおいても、上体に力が入りすぎているようで、下半身の力を相手に漏らさず伝えられるようになったときが飛躍のタイミングと見る。
宮城(生年:平成11年早 出身:沖縄 身長:170センチ 体重:100キロ 初土俵:令和3年夏)
北部農林高ー日体大。大学時代は体重別の85キロ未満級で優勝歴があり、大学の先輩にあたる中村親方の内弟子として入門。デビューから全場所5勝以上をあげ、下馬評通りの出世スピード。今年中に幕下へ上がり、できれば定着をして、幕下が多い部屋の上昇機運をいっそう高める存在となってほしい。
前相撲で居反りを出したので、島相撲チック取り口なのかなと思っていたが、実際には右足を前に出して構えを崩さずに押し、時々変わり身の鋭さも披露するという翔猿~一木(玉ノ井)ラインに通じる相撲を多く見せている。この相撲を磨き、体も大きくしていけば、いずれ上位を狙っていけるだけの素質は十分。BSで視られる位置まで上がってくる日が楽しみだ。
西田(生年:平成16年 出身:福岡 身長:180センチ 体重:148キロ 初土俵:令和2年春)
相撲経験を有して中学卒業後に入門。恵まれた体躯を生かした正攻法の相撲で3年名古屋新三段目、さらに連続の勝ち越しで中位(東45枚目)まで到達と、十分な早さで番付を上げている。
突き押し主体、前に出る力の養成を目指す二所ノ関塾でしっかりと地力をつけ、いずれ中村部屋を背負って立つ日の土台を築いてほしい。
阿部(生年:平成15年早 出身:神奈川 身長:181センチ 体重:137キロ 初土俵:令和3年春)
舞岡高ではアメフトをしており、相撲未経験で入門も、それなりにキャリアの長い中堅どころからも勝ち星をあげており、すでに序二段上位で通用するくらいの力は持っている。
部屋統合前に対戦経験もある谷口ら、力量の近い相手と存分に稽古できるのは力をつける上で間違いなく好材料。年内はまず三段目昇進を現実的な目標としたい。
参考資料
『相撲』 ベースボール・マガジン社
日本相撲協会公式サイト
初発記事公開は令和3年11月10日。
同12月30日追記。
令和4年2月9日第2弾追記。
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